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2022年11月28日 (月曜日)

ジョーダン・トリオのお蔵入り盤

冬を感じる頃になると、決まって聴きたくなるピアニストがいる。デューク・ジョーダン(Duke Jordan)。恐らく、ジョーダンの代表盤の1枚『Flight to Denmark』のジャケットのイメージがそうさせると思うんだが、確かに、ジョーダンのピアノって、秋の終わりから冬にかけて聴くと沁みる印象が強い。

Duke Jordan Trio『Truth』(写真左)。1975年3月2日、コペンハーゲンでの録音。SteepleChaseレーベルの SCS 1175番。ちなみにパーソネルは、Duke Jordan (p), Mads Vinding (b), Ed Thigpen (ds)。録音当時はお蔵入りの音源で、リリースは1983年。ジョーダンお得意のトリオ編成。ベースにヴィンディング、ドラムにシグペン。かの名盤『Flight to Denmark』と同じトリオ編成で、約1年半後の録音。

その内容は十分に期待出来るレベルだと思うのだが、録音当時は何故かお蔵入り。1983年にやっとリリースされている。スティープルチェイスの総帥ディレクター、ニルス・ウィンターが、既リリースの『Flight to Denmark』『Two Loves』と同じメンバー、同じ曲想のアルバムが続くのは好ましくないと判断したのだろうか。

内容的に素晴らしいピアノ・トリオである。確かに、先行の『Flight to Denmark』『Two Loves』と雰囲気・演奏の志向は同じなのだが、デューク・ジョーダンのピアノの個性がより判り易くなっている様に感じる。
 

Duke-jordan-triotruth
 

ジョーダンは、レジェンド級のバップ・ピアニストで、ピアノ腕前もさることながら、彼の書く曲は佳曲ばかり。特にブルースについては、魅力的な曲ばかり。この盤でも、冒頭の「Layout Blues」など絶品である。

ジャズの自作曲には、作曲を担当するジャズマンの楽器の個性がダイレクトに伝わるものが多い。恐らく、この盤に収録された曲全てが、ジョーダンのオリジナルだということもあるだろう。ジョーダンの自作曲もそうで、ジョーダンのピアノの個性がより判り易くなっている。

ジョーダンの個性の1つが、左手のリズム&ビートが「オン・ビート」であること。普通は「オフ・ビート」なんだが、ジョーダンのビートは「オン・ビート」。これが、ジョーダン独特のフレーズの「ノリ」を生んでいる。そして、その独特の「ノリ」が、バックのベース&ドラムのリズム&ビートに埋もれる事無く、逆に全面に浮き出てくる効果を醸し出している。

ジョーダンの代表盤に上がらない、地味なジョーダンのトリオ盤であるが、その内容は先行の『Flight to Denmark』『Two Loves』と引けを取らない。逆に、先行の『Flight to Denmark』『Two Loves』と併せて、3部作として一気に聴き通した方が、ジョーダンのピアノの個性が良く理解出来て良い様な気がする。
 
 

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