『Bitches Brew Live』は語る
エレ・マイルスの名盤『Bitches Brew』を聴くと、エレ・マイルスの基本は「ジャズ」で、しっかりと「メインストリームなジャズ」であり、クロスオーバーでも無ければ、フュージョンでも無いことを確信する。この盤に表現されているのは、サイケでプログレなビートに乗った「即興演奏を旨とするエレクトリックな純ジャズ」である、と感じる。
が、『Bitches Brew』はスタジオ録音であり、何度もリハーサルを繰り返すことが出来るし、良いところだけ切り取って編集することだって出来る。確かに、限りなく自由度の高い、即興演奏を旨とするエレクトリックな純ジャズなんだが、どこか「作られた雰囲気」が漂うことは否めない。そういう時、ライヴではどうだったのか、という思いに行き着く。そう、ライヴ音源が聴きたい。
Miles Davis『Bitches Brew Live』(写真左)。1969年7月5日のニューポート・ジャズフェス、1970年8月29日のワイト島フェス、2つのライヴ音源をカップリングしている。ちなみにパーソネルは、ニューポート・ジャズフェスでは、Miles Davis (tp), Chick Corea (el-p). Dave Holland (b), Jack DeJohnette (ds)、ワイト島フェスは、Miles Davis (tp), Gary Bartz (as, ss), Chick Corea (el-p), Keith Jarrett (el-org), Dave Holland (el-b), Jack DeJohnette (ds), Airto Moreira (perc) 。
ニューポートでの演目は「Miles Runs the Voodoo Down」「Sanctuary」「It's About That Time/The Theme」。ワイト島での演目は「Directions」「Bitches Brew」「It's About That Time」「Sanctuary」「Spanish Key/The Theme」。いずれの曲も『In a Silent Way』〜『Bitches Brew』録音期の楽曲である。パーソネルも、『In a Silent Way』〜『Bitches Brew』録音期のパーソネルに準じている。
このライヴ音源を聴くと、『In a Silent Way』〜『Bitches Brew』は、当時の電気楽器の特性を最大限に活かした、相当に自由度の高い即興演奏であり、モード・ジャズであったことが良く判る。『In a Silent Way』や『Bitches Brew』といったスタジオ録音盤は、決して「テオ・マセロのたまもの」では無かった。
凄まじいばかりの自由度の高いエレ・ジャズが、人間の手で実現されていたのだ。これだけ自由度の高い、切れ味良く、疾走感溢れる、即興演奏をメインとするエレ・ジャズは、現代でもなかなか聴くことは叶わない。このライヴ音源を聴いて、やはりエレ・マイルスはただものでは無い、当時、時代の最先端を走っていたのだ、ということを再認識する。無視してはならないライヴ音源である。
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