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2022年11月17日 (木曜日)

『Affinity』はエヴァンス好盤

ビル・エヴァンスのワーナー時代、最晩年のリーダー作を再度、聴き直している。というか、このワーナー時代は、僕がジャズを聴き始めて間もない頃で、ほぼリアルタイムでエヴァンスのリーダー作に触れている。エヴァンスのリーダー作の中でも、とりわけ特別な懐かしさを感じるのが、このワーナー時代。

ワーナー時代は、レーベルとしては「Warner Bros.」「Elektra Musician」「Nonesuch」と変わるが、どれもが同系列。いずれのリーダー作も、ジャズを聴きはじめた頃に、FMラジオの番組で聴いては、そのエヴァンスのピアノに魅せられて、バイト代を叩いて、即、ゲットしていたなあ。

Bill Evans『Affinity』(写真)。1978年10月30日〜11月2日の録音。ちなみにパーソネルは、Bill Evans (p, key), Marc Johnson (b), Eliot Zigmund (ds), Larry Schneider (fl, ts, ss), Toots Thielemans (harmonica)。「エバンス・トリオと伝説のハーモニカ奏者 トゥーツ・シールマンスとの共演」との触れ込みだが、全曲で共演している訳では無い。

この盤、リリース当時は、プロ、アマ評論家の皆さんはこぞって、エヴァンスが、エレピは弾くわ、かつシールマンスのハーモニカと唐突なコラボはするわ、で概ね不評の大合唱(笑)。とにかく、エヴァンスについては、ストイックで耽美的なピアノ・トリオしか認めない、と言わんばかりで、この盤については「ケチョンケチョン」だった思い出がある。
 

Bill-evansaffinity

 
でも、ですね。当時もそう思ったし、今の耳で聴いてもそう思うんだが、この盤、なかなか良い内容だと思いますよ。エヴァンスのピアノは、ばりばりバップなピアノを弾きまくっていた時代を通り過ぎて、タッチは明快、フレーズは切れ味良く耽美的。流麗でバップな、エヴァンス独特の音の響きを伴った弾き回し。好パフォーマンスだと思います。

シールスマンとのコラボは数曲あるんですが、どれもが良い出来。さすがは伴奏上手なエヴァンス。シールスマンとの息の合ったデュオ・パフォーマンスは見事。ハーモニカはベースラインを押さえるのに不得手な楽器なので、マーク・ジョンソンのベースがサポートに入っていて、これが良いアクセントになっている。曲のベースラインがクッキリ浮き出て良し。

ラリー・シュナイダーのテナーは可も無く不可も無くではあるが、やはり、エヴァンスは「トリオ演奏」が良い感じ。数曲、トリオ演奏が入っているが、ファンタジー時代の「流麗ではあるが、ばりばりバップなピアノ」から、ほど良く力が抜けたタッチが実に良い。1978年、逝去の2年前にして、新しい響きのエヴァンスのピアノをこの盤で提示している。さすがである。

「聴かせるジャズ・ピアノ」「心地良く鑑賞出来るジャズ・ピアノ」として、この盤の内容は「アリ」だろう。昔のプロ、アマ評論家の皆さんが言うような「エヴァンスとしてあってはならない凡作」では無い。この盤でも、エヴァンスはしっかり「存在している」。しかも、新しい響きのエヴァンスが「いる」。エヴァンスとしての好盤です。
 
 

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