タル・ファーロウのサード盤
タル・ファーロウは、ブルーノートでの初リーダー作から、そのギターの個性は完成されていた。超絶技巧の限りを尽くした「弾きまくりバップ・ギター」。初リーダー盤から次作のセカンド盤は、歌心溢れるバラード・プレイも素晴らしかったが、とにかく、超絶技巧の弾きまくりギターが目立ちに目立っていた。
Tal Farlow『The Artistry Of Tal Farlow』(写真左)。1954年11月15日、LAでの録音。ちなみにパーソネルは、Tal Farlow (g), Gerry Wiggins (p), Ray Brown (b), Chico Hamilton (ds)。
ヴァーヴ・レコードからのタルのリーダー作第2弾。米国ウエストコースト・ジャズの人気ジャズマンのトリオをバックに、超絶技巧で余裕溢れるバップ・ギターを弾きまくった、タル初期の名盤。
さすがに、3枚目のリーダー作で、大手ジャズ・レーベルのヴァーヴからの2枚目のリーダー作。収録されたそれぞれのギター・プレイには、濃厚な「余裕」が感じられて、超絶技巧なパフォーマンスにせよ、歌心溢れるバラード・プレイにせよ、程良いテンションの下、アドリブ・フレーズにも、どこか柔らかな「余裕」が感じられて、超絶技巧なタルのプレイが、更に迫力を持って迫ってくる。
特に、僕は「歌心溢れるバラード・プレイ」の代表的パフォーマンスとして、3曲目の「Autumn In New York(ニューヨークの秋)」を愛して止まない。1本の弦を1オクターヴ低く調律して低音域を広げて、豊かな表現の幅を拡げたソロ・プレイが素晴らしい。ギターの一本弾きをメインにして、このタルの豊かな表現力は驚異的。この1曲だけでも、このタルのリーダー作の3作目は名盤に値する。
超絶技巧なパフォーマンスも素晴らしい。ギンギンにテンションを張った超絶技巧な弾き回しも聴き応えがあるが、ちょっと「疲れる」。しかし、この盤でのタルの超絶技巧な弾き回しには「余裕」が感じられて、その「余裕」が豊かな表現力に直結していて、カッ飛ぶ高速な弾き回しでも歌心は満点。
冒頭の「I Like To Recognize The Tune」から「Strike Up The Band」の余裕ある超絶技巧なプレイは聴き応え満点。ラストの「Cherokee」など、高速な弾き回しには、しっかりした歌心が宿っていて、これまた聴き応え満点。
安定した高速弾き回しと「余裕」が感じられるアドリブ・パフォーマンスの下、超絶技巧なパフォーマンスと歌心溢れるバラード・プレイが良好に共存しているこの盤は、タルの初期の名盤として良い内容だと思う。
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