カナダのジャズ・バンドの異色盤
The Cookers Quintetは、カナダ出身のジャズ・バンド。演奏の基本は「ハードバップ、もしくはファンキー・ジャズ」。21世紀に入ってからの演奏トレンド「ネオ・ハードバップ」とは異なる、どちらかと言えば、1950年代後半の古き良き時代の「ハードバップ」。
そして、もう1つの演奏の基本が「モード・ジャズ」。これも、21世紀に入ってからの演奏トレンド「ネオ・モード」とは違う、1980年代後半からの「新伝承派のモード・ジャズ」とも違う、1950年代後半から1960年代前半のマイルスやコルトレーンがやっていた「モード・ジャズ」。
The Cookers Quintetの演奏は、古き良き時代のハードバップ、もしくはファンキー・ジャズであり、モード・ジャズである。だから聴いていて「あれっ」と思う。しかし、録音が新しいので、再び「あれっ」と思う。実に整った元祖ハードバップであり、元祖ファンキー・ジャズであり、実に良く練られた元祖モード・ジャズである。このジャズの化石のような演奏が、意外と聴いていて面白いのだから、ジャズって判らない(笑)。
The Cookers Quintet『The Path』(写真左)。2021年10月23義、カナダのバンクーバーでの録音。ちなみにパーソネルは、Ryan Oliver (ts), Tim Hamel (tp), Bernie Senensky (p), Alex Coleman (b), Joe Poole (ds)。ハード・バップ~モード・ジャズの魅力を今に伝えるカナダのジャズ・グループ、ザ・クッカーズ・クインテットの通算4作目。
収録曲は全て、バンドのオリジナル曲なんだが、フロント楽器の吹き上げるフレーズを聴いていると、どこか、コルトレーンを想起したり、ホレス・シルヴァーを想起したり、デクスター・ゴードンを想起したり、ウェイン・ショーターを想起したり。まだ、リズム隊のベースを聴いていると、レイ・ブラウンを想起したり、チェンバースを想起したり。
しかし、オリジナルの演奏に比べると、洗練さと繊細さが加味されているところが「ミソ」。21世紀に入ってからの演奏なので当然といえば当然なんだが、古き良き時代のハードバップ、もしくはファンキー・ジャズ、モード・ジャズが、現在において、洗練されて、新しいオリジナル曲となって、リニューアルされているところが、このバンド演奏の面白さ。
洗練さと繊細さが実に趣味良く、実に小粋に反映されているところが無ければ、単なる古き良き時代のジャズのコピー・バンドとして無視されるところである。すれすれのところで、この盤は、現代ジャズの好盤として評価できる。
古き良き時代のハードバップ、もしくはファンキー・ジャズ、モード・ジャズを、現代のジャズ・シーンに、雰囲気そのままに甦らせる。カナダ出身のジャズ・バンドだから出来る、良い意味での「暴挙」(笑)。
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