Roland Hanna Trio『Glove』
ローランド・ハナ(Roland Hanna)のピアノは、端正でタッチが堅実、そして、典雅なフレーズ、典雅なアドリブが個性のピアニストである。リーダー作は常に平均点以上の出来をキープし、破綻が無い。逆に、個性的な手癖や弾き回しがある訳では無い。いわゆる「総合力で勝負するタイプ」のジャズ・ピアニストの1人。
ハナは米国デトロイト出身。1932年生まれ、2002年11月に70歳で鬼籍に入っている。ハードバップ期に若手ジャズ・ピアニストとして活躍したはずなのだが、リーダー作は2作しかない。リーダー作を量産し始めたのは、1970年代に入ってから。ジャズはマニアックな音楽ジャンルに追いやられ、ジャズとしては辛い時代だったのだが、ハナはいきなりリーダー作を量産し始める。
Roland Hanna Trio『Glove』(写真左)。1977年10月15日、日本(東京・青山ビクタースタジオ)での録音。トリオ・レコードからのリリース。ちなみにパーソネルは、Roland Hanna (p), George Mraz (b), Motohiko Hino (ds)。ベースに名手ムラーツ、ドラムに我が国の日野元彦を配したトリオ編成。ハナの1970年代量産リーダー作の1枚である。
我が国のトリオ・レコードの制作。良好なプロデュースの下、ハナのピアノの個性をしっかりと捉えた好盤である。ハナは「総合力で勝負するタイプ」のジャズ・ピアニストの中でも、タッチが力強く、ダイナミックでドライブ感が豊か。スタンダード曲を、ハイ・テクニックのアレンジに乗って、破綻の無い、典雅で硬質なタッチで、事も無げに弾き進めていく。
ベースのムラーツが良い。ハナのハイ・テクニックな弾き回しを骨太なブンブン・ベースでガッチリとサポートする。そして、日野元彦のドラミングがこれまた良い。ムラーツのベースラインに寄り添うように、柔軟で堅実なリズム&ビートを供給する。このリズム隊があってのハナのパフォーマンスであることが、この盤を聴いていて良く判る。
良きリズム隊を得て、ハナのピアノが心地良く乱舞する。確か、この盤は当時流行の「ダイレクト・カッティング録音」の盤だったと記憶する。ピアノの音、アコベの音、ドラムの音、どれもが生々しく活き活きとした鮮やかな音で捉えられていて、聴いていてとても気持ちが良い。演奏良し、録音良し。ハナの1970年代リーダー作の代表的な1枚である。
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