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2022年10月14日 (金曜日)

ズートをリラックスして堪能

ズート・シムスは我が国では、あまり人気の無いテナーマンだった。レコード会社にとって、コマーシャルなところが少なくて、売れない、と踏まれたのだろう。でも、ズートの名盤を聴いたジャズ者の多くが、ズートのテナーのファンになる。

歌心溢れ、スインギーで小粋。そんなズートのテナーって、東海岸ジャズ志向でも無く、西海岸ジャズ志向でも無い独特なテナーで、扱いに困るところがあるんだろうなあ。でも、良いものは良い。そんなズートのテナーである。

Zoot Sims『Cookin'!』(写真)。1961年11月13〜15日、ロンドンの「Ronnie Scott Club」でのライヴ録音。ちなみに、Zoot Sims (ts), Stan Tracy (p), Kenny Napper (b), Jackie Dougan (ds)。

UKフォンタナ・レーベルに残されたズート・シムズの傑作ライヴ盤。ラストの「Desperation」だけが、トランペットで客演した Jimmy Deuchar (tp) のオリジナルだが、他はジャズ・スタンダード曲で固められている。歌心溢れ、スインギーで小粋なズートのテナーには、ジャズ・スタンダード曲が良く似合う。
 

Zoot-simscookin

 
「Desperation」1曲だけズートのテナーとドーチャーのトランペットの2管フロントだが、他はズートのテナー1管フロントの「ワンホーン・カルテット」の演奏なので、ズートのテナーが心ゆくまで楽しめる。ズートのテナーはワンホーンが良い。

「Stompin' At The Savoy」「Love For Sale」「Somebody Loves Me」「Gone With The Wind」「Autumn Leaves」と超有名スタンダード曲のオンパレード。どの曲も流麗でキャッチャーなメロディーを持つ佳曲ばかりで、ズートのテナーの歌心とスイング感が映えに映える。

バックのリズム隊は、皆、英国出身の「地元ジャズマン」。ズートのスインギーなテナー・サックスを精一杯サポートしている雰囲気が素敵で破綻が無い。皆、精一杯、健闘している。

このライヴ盤が録音された1961年。ハードバップは成熟し、多様化の時代、ポップ化の時代に入った時期。そんな時期に、成熟したハードバップなリズム隊をバックに、歌心溢れ、スインギーで小粋なテナーを吹き上げるズート。気軽にリラックスして、ズートのテナーが心ゆくまで堪能出来る佳作である。
 
 

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