ジョンアバの個性が良く判る盤
ジョン・アバークロンビー(John Abercrombie)。出身地は米国ニューヨーク州ポートチェスター。ジャズ・ギタリストで、1944年12月生まれ。ジョン・アバークロンビー、長い名前である。僕は以前から「ジョンアバ」と呼んでいる。ウネウネした、気持ち良く適度に捻れたギターを弾くんだが、ジョンアバは、欧州ジャズっぽく、音が濡れている。
John Abercrombie『Characters』(写真)。1977年11月の録音。ECMの 1117番。パーソネルは、John Abercrombie (el-g, ac-gu, el-mandolin)。ジョン・アバークロンビーの、多重録音によるソロ・パフォーマンスの記録。使用楽器は、エレギ、アコギ、エレ・マンドリンとなっている。
この盤はなかなか耳にするころが無かった盤。そもそも、日本のレコード会社が扱ってくれない。ECMレーベルの盤でも、人気盤は繰り返しリイシューされるのだが、人気の薄い、マニアックな盤については全くの「無視」。僕がこの盤を初めて耳にしたのは、21世紀に入って、ネット経由でECMの外盤CDが入手し易くなってからである。
ジョンアバのソロ盤なので、ジョンアバのギターの個性が良く判る。ただ、ソロ・パフォーマンスなので、リズム隊に身を任せ、触発され、自由に弾きまくる「ウネウネした、気持ち良く適度に捻れたギター」は封印している。このソロ盤では、素姓確かな、テクニック優秀、歌心溢れるフレーズ満載の「原点回帰な正統派のニュー・ジャズ志向のギター」を聴くことが出来る。
気持ち良くスルスルとギターを弾き回しているが、良く聴くと結構ハイ・テクニックなことをやっている。多彩な音の響きは、まさに「音の魔術師」。穏やかなトーンで、繊細なタッチのエレギ、さざ波の様に音が押し寄せるアコギ、エスニックに不思議な響きのマンドリン。ロングサスティーンによる独特の浮遊感溢れる、伸びのあるエレギの響きは、いかにも「ECMサウンド」。
ジョンアバの正統派ジャズ・ギタリストの一端を垣間見る様な、聴き応えのあるソロ盤である。ギターのソロがずっと続くので、しっかりと腰を据えて、スピーカーに対峙して、一気に聴き込む事が必要になるが、多彩な音を繰り出す「音の魔術師」ジョンアバである、意外と飽きずに聴き通すことが出来る。聴き終えて、ジョンアバは意外と伝統的なスタイルを重んじる、正統派なギタリストなんだなあ、と改めて思うのだ。
《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
★ AORの風に吹かれて 【New】 2022.03.13 更新。
★ まだまだロックキッズ 【New】 2022.03.13 更新。
★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2022.03.13 更新。
★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。
★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
東日本大震災から11年5ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
« カナダ発の「小粋なジャズ」盤 | トップページ | グリーンのメジャー・デビュー »
コメント