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2022年9月16日 (金曜日)

ジョン・パットンのお蔵入り盤

最近、やっと、オルガン・ジャズ盤については、「聴き直し」のフェーズに入っている。そもそも、アルバムというのは期間をおいて、複数回、聴くのが、僕自身の「習わし」。短期間に集中して聴くと、その時の「ジャズ耳」の感覚だけで判断するので、ちょっと偏った印象になる。自らの「ジャズ耳」も年齢と共に成熟していくので、10年位おいて、再度、聴き込むのが、良い塩梅だと思っている。

Big John Patton『Blue John』(写真左)。1963年7月11日と8月2日の録音。ブルーノートの 4143番。ちなみにパーソネルは、John Patton (org), Tommy Turrentine (tp), George Braith (ss, stritch), Grant Green (g), Ben Dixon (ds)。カタログ番号まで割り振りされながら、録音当時はリリースされず、1986年になって、やっと日の目をみている。ブルーノートお得意の、なぜか「お蔵入り」盤である。

ジョン・パットンのオルガンは、ストレートな音でシンプルな弾き回し。ジミー・スミスの様に、ダイナミックに派手派手しく、どファンキーに弾くオルガンとは「正反対」の音。但し、オルガン独特の音が、嫌が応にもファンクネスを振り撒き、ストレートな音はアドリブ・フレーズの弾き回しがクッキリと浮き出る感じで、聴いていて何だか「スッとする」。
 

Big-john-pattonblue-john

 
そんなジョン・パットンのオルガンがバックに回ると、これがまた、ファンキーで伴奏上手なオルガンに早変わり。そんな伴奏上手なオルガンをバックに、ちょっと捻れて癖のあるジョージ・ブライスのサックスが、とても良い感じで吹き進めていく。そして、ファンクネスだだ漏れのシングルトーンなグリーンのギターが、演奏全体のファンクネスを増幅する。ディクソンのドラムは、そんなフロントの曲者達に、正確なリズム&ビートを供給して盛り立てる。

ジョン・パットンとオルガンとグラント・グリーンのギターが、ちょっと薄めの「こってこてなファンクネス」を供給しているのと、あまりに個性的なブライスのサックスがあるので、イージーリズニング・ジャズ風にはならないが、アルバム全体の印象は「ポップ」。このポップな軽さが、ちょっとブルーノートには合わなかったかなあ、とも思う。

演奏の内容は決して悪く無い。ブライスのサックスの好き嫌いはあると思うが、グラント・グリーンのギターが、ブライスの破天荒な音を、しっかりと「締めて」いるので、あまりブライスの個性的過ぎるサックスは耳に付かない。それでも、当時のブルーノートの総帥プロデューサーのアルフレッド・ライオンは、この盤を「お蔵入り」にした。あの世に行って、ライオンに会えたら、その理由をしっかり訊いてみたい。
 
 

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