Kyoto Jazz Sextet の新作
1960年代以降、我が国のジャズのレベルについては高いものがある。戦前、スイング・ジャズに親しんでいた下地があり、1950年代からの進駐軍経由での本場のジャズの生の経験を活かして、ジャズについては、演奏する方も、鑑賞する方も、米国に次ぐレベルにあったのでは無いか、と感じている。
1970年代に入っても、演奏する方については、米国ジャズ、特に東海岸ジャズに憧れを持ち、米国ジャズのトレンドを追いかけていた。和ジャズならではのオリジナリティーは、まだ確立されてはいない。
和ジャズならではの個性を持ち始めたのは、1990年代に入ってからではないだろうか。1980年代半ばに、米国で「純ジャズ復古」が成った訳だが、この時点で、和ジャズは米国ジャズを追いかけるのでは無く、並走する様になった。
そして、21世紀に入って、山中千尋のデビュー以降、優れた女性ジャズ・ミュージシャンが多数現れ出でて、この女性ジャズ・ミュージシャンが中心となって、21世紀の和ジャズの独特の個性を持つようになる。そして、現在、今でも、和ジャズは独特の個性を保ちつつ、米国ジャズ、欧州ジャズと並走を続けている。
Kyoto Jazz Sextet『SUCCESSION』(写真左)。2021年11月、2022年1月の録音。ちなみにパーソネルは、類家心平 (tp), 栗原 健 (ts), 平戸祐介 (p), 小泉P克人 (b), 沖野修也(vision, sound effect on 渡良瀬)、そして、featuring 森山威男 (ds)。Kyoto Jazz Sextetの 5年ぶりの新作。Kyoto Jazz Sextetは「ジャズの現在」を表現することをコンセプトとしている。
この新作の音の雰囲気は「コルトレーン・ジャズ」。モード・ジャズを極め、シーツ・オブ・サウンドを極めた、フリー&スピリチュアルに走る直前の、メインストリーム系ジャズの最先端を走っていた頃の「コルトレーン・ジャズ」。ただ、かっての新伝承派の様に、過去のモード・ジャズを焼き直すのでは無く、Kyoto Jazz Sextetならではの解釈で「コルトレーン・ジャズ」をやっている。
特に、フロント2管とピアノは「コルトレーン・ジャズ」の響きをしっかりと宿している。ノンビリ聴いていたら、コルトレーンとマッコイ・タイナーを彷彿とさせる部分があって、あれれ、と思う。但し、コルトレーンの様に「鬼気迫る」ところは無く、出てくるフレーズは洗練されていて、シンプルで判り易い。
「コルトレーン・ジャズ」の「和ジャズの21世紀ならではの解釈」盤が出てくるとは。新しさは感じ無いが、和ジャズの演奏する側のレベルの高さを再認識させてくれる好盤ではある。
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