カナダ発の「小粋なジャズ」盤
小粋なジャズは、何も過去の時代のジャズばかりが対象では無い。21世紀に入ってリリースされた新盤の中にも「小粋なジャズ」盤はあるし、フュージョン・ジャズの中にも「小粋なジャズ」盤は存在する。つまりは、米国のハードバップ時代の盤だけが「小粋」じゃ無いし、欧州ジャズ盤にも「小粋」な感覚はある。
Cookers Quintet『Vol.1』(写真左)。2011年のリリース。ちなみにパーソネルは、Ryan Oliver (ts), Tim Hamel (tp), Alex Coleman (b), Richard Whiteman (p), Joel Haynes (ds)。オール・カナダ出身のジャズマンで固められたクインテットの第一集。収録された全8曲、全てが自作曲。ジャズ・スタンダード曲は一曲も無い。これが何だか「潔い」。
ジャズ・スタンダード曲は入っていない。パーソネルを見渡して、知っている名前はいない。2011年リリースの新盤であり、過去の時代のジャズ盤のリイシューでも無い。では、どうして、この盤を手に取って聴くに至ったのか。それはこの「ジャケット」である。とてもお洒落な、爽やかなエロティシズムを感じさせてくれる、女性の写真をあしらったジャケット。へ〜、こんな盤あったんや、と軽い気持ちで聴き始めたのである。
これが、意外と聴き応えがあるのだから、ジャズの裾野は広く、ジャズはグローバルなものなんだ、ということを改めて強く感じた次第。クインテットのメンバー全員、カナダ出身、ですよ。この盤の演奏のレベルは非常に高い。米国の隣国でありながら、カナダの音楽シーンについてはピンと来るものが無かったので、このクインテットの演奏力にはビックリした。
内容的には、それまでのジャズの歴史を振り返るような、メインストリーム系の純ジャズの演奏トレンド、演奏スタイルを踏襲した演奏がズラリと並ぶ。これは「小粋」なことするなあ、と感心した。なるほど、安易にジャズの演奏トレンドやスタイルをどうしても想起して先入観が入る、ジャズ・スタンダード曲を選ばなかった訳だ。
ハードバップ、モード・ジャズ、ファンキー&ソウル・ジャズなどを、自作曲を通じて演奏する。聴いていて、「あれ、どっかで聴いことがある?」と思わせる様な、過去のジャズ資産を踏襲した純ジャズな演奏がてんこ盛り。スタンダード曲を入れずに、スタンダード曲を想起させる、過去のジャズの演奏トレンドやスタイルを前面に押し出して、自作曲を演奏する。まず、この盤の企画自体が「小粋」である。ジャケの良し悪しに関わらず、一聴をお勧めしたい。
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