« ピム・ヤコブスの「この一枚」 | トップページ | ジョンアバの個性が良く判る盤 »

2022年9月 1日 (木曜日)

カナダ発の「小粋なジャズ」盤

小粋なジャズは、何も過去の時代のジャズばかりが対象では無い。21世紀に入ってリリースされた新盤の中にも「小粋なジャズ」盤はあるし、フュージョン・ジャズの中にも「小粋なジャズ」盤は存在する。つまりは、米国のハードバップ時代の盤だけが「小粋」じゃ無いし、欧州ジャズ盤にも「小粋」な感覚はある。

Cookers Quintet『Vol.1』(写真左)。2011年のリリース。ちなみにパーソネルは、Ryan Oliver (ts), Tim Hamel (tp), Alex Coleman (b), Richard Whiteman (p), Joel Haynes (ds)。オール・カナダ出身のジャズマンで固められたクインテットの第一集。収録された全8曲、全てが自作曲。ジャズ・スタンダード曲は一曲も無い。これが何だか「潔い」。

ジャズ・スタンダード曲は入っていない。パーソネルを見渡して、知っている名前はいない。2011年リリースの新盤であり、過去の時代のジャズ盤のリイシューでも無い。では、どうして、この盤を手に取って聴くに至ったのか。それはこの「ジャケット」である。とてもお洒落な、爽やかなエロティシズムを感じさせてくれる、女性の写真をあしらったジャケット。へ〜、こんな盤あったんや、と軽い気持ちで聴き始めたのである。
 

Cookers-quintetvol
 

これが、意外と聴き応えがあるのだから、ジャズの裾野は広く、ジャズはグローバルなものなんだ、ということを改めて強く感じた次第。クインテットのメンバー全員、カナダ出身、ですよ。この盤の演奏のレベルは非常に高い。米国の隣国でありながら、カナダの音楽シーンについてはピンと来るものが無かったので、このクインテットの演奏力にはビックリした。

内容的には、それまでのジャズの歴史を振り返るような、メインストリーム系の純ジャズの演奏トレンド、演奏スタイルを踏襲した演奏がズラリと並ぶ。これは「小粋」なことするなあ、と感心した。なるほど、安易にジャズの演奏トレンドやスタイルをどうしても想起して先入観が入る、ジャズ・スタンダード曲を選ばなかった訳だ。

ハードバップ、モード・ジャズ、ファンキー&ソウル・ジャズなどを、自作曲を通じて演奏する。聴いていて、「あれ、どっかで聴いことがある?」と思わせる様な、過去のジャズ資産を踏襲した純ジャズな演奏がてんこ盛り。スタンダード曲を入れずに、スタンダード曲を想起させる、過去のジャズの演奏トレンドやスタイルを前面に押し出して、自作曲を演奏する。まず、この盤の企画自体が「小粋」である。ジャケの良し悪しに関わらず、一聴をお勧めしたい。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!

 ★ AORの風に吹かれて        【New】 2022.03.13 更新。

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2022.03.13 更新。

   ・遠い昔、懐かしの『地底探検』

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2022.03.13 更新。

   ・四人囃子の『Golden Picnics』
 
 
Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から11年5ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 
 

« ピム・ヤコブスの「この一枚」 | トップページ | ジョンアバの個性が良く判る盤 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« ピム・ヤコブスの「この一枚」 | トップページ | ジョンアバの個性が良く判る盤 »

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  

カテゴリー