エルヴィンのハードバップ盤
Elvin Jones(エルヴィン・ジョーンズ)をリーダー作を聴き直し始めた。エルヴィン・ジョーンズと言えば、コルトレーンの伝説のカルテットのドラマーとして有名。高速テクニックの過激なモード・ジャズにおける、火を噴くようなポリリズムックなドラミングが彼の個性とされる傾向にあるが、他のリーダー作を聴けば判るが、エルヴィンのドラミングの本質はリーダー作にある。
粘りのあるシャープなドラミング。そして、何本腕があるんだ、この人のタイム感覚はどうなってるんだ、手と足はどうやってバラバラに動いているんだ、と思うほどの圧倒的なポリリズム。そして、硬質なスイング感溢れる、ダイナミックで大らかなドラミング。エルヴィンはなにも、モード・ジャズ専門のドラマーでは無い。ドラムを担当するセッション毎に、リーダーの意図を汲んで、その意図に合わせつつ、自らの個性を反映したドラムを叩き分ける。
Elvin Jones『And Then Again』(写真左)。1965年2月16日と3月18日、2つのセッションでの録音。2つのセッションのパーソネルは、まず1つが、Elvin Jones (ds), Thad Jones (cor), Hunt Peters (tb), Charles Davis (bs), Hank Jones (p), Art Davis (b)。もう1つが、Elvin Jones (ds), J. J. Johnson (tb), Frank Wess (ts,fl), Charles Davis (bs), Don Friedman (p), Paul Chambers (b)。
ドラムのエルヴィン・ジョーンズ自らがリーダー。メルバ・リストンの編曲・指揮による、3管フロントのセクステット編成。2セットのパーソネルを見渡すと、この盤はハードバップ志向の純ジャズである。ジョーンズ3兄弟が揃い踏みしていたり、トロンボーンの大御所、J.J.ジョンソンや、モダン・テナーのベテラン、フランク・ウエスがいたり、1965年の録音なんだが、1950年代のハードバップ全盛期に立ち戻った様な演奏が繰り広げられている。
たた、アレンジについては、メルバ・リストンが担当していて、1965年という時代に合わせた、家庭で聴く音楽として鑑賞に十分耐える、判り易いアレンジと、テクニック優秀で判り易いハードバップな演奏が詰まっている。ややもすれば、イージーリスニング・ジャズ風になりそうなところを、エルヴィンのドラミングが要所要所をビシッと締め、当時として、ベテランの域に達していた重鎮ジャズマン、J.J.ジョンソンやフランク・ウエス、そして、2人の兄貴、サドとハンクが硬派でハードバップなフレーズをバシッとキメている。
とても整った内容のハードバップ演奏。録音当時として新しい何かがある訳では無いが、1965年の時点で、新しい響きのハードバップなフレーズがそこかしこに散りばめられているのには感心する。録音メンバーそれぞれの「矜持」を感じる、素敵なハードバップである。しかし、エルヴィンのドラミングの「ど迫力」には、いつも「仰け反って」しまう(笑)。
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