スイス発の「小粋なジャズ」盤
小粋なジャズ盤を探し始めて久しい。が、ジャズ盤の音を初めて耳にして以来、約50年が経過したが、未だに「この盤は聴いたことがない」という、自分にとっての「初出盤」に出会うことがある。特に、我が国では、米国ジャズほどは人気が無く、流通することが少なかった欧州盤は特にその傾向が強い。
Boillat Thérace Quintet『My Greatest Love』(写真)。1975年、スイスでのリリース。ちなみにパーソネルは、Jean-François Boillat (ac-p, el-p [Rhodes] ), Rogelio Garcia (ts, perc), Raymond Therace (ts, as,fl), Roger Vaucher (el-b), Eric Wespi (ds), guest : Benny Bailey (tp, flh)。スイスのワラ・テラセ・クインテットの1970年代レア盤のリイシューとのこと。
スイスですよ、スイス発の純ジャズ盤。1975年と言えば、我が国では米国ジャズがメインで、欧州ジャズはECMレーベルの情報がジャズ雑誌経由で流れてくる程度。欧州ジャズ盤はレコード屋ではまずお目にかかれなかった時代。そんな時代に「スイス・ジャズ」盤である。聴いたことが無いのも無理は無い、と思いつつ、2022年の今、何故にして、この1975年リリースのスイス盤がリイシューされたのか、理解に苦しむ。
しかも、このジャケット・デザインである。最初は見た時は「お洒落な聴き心地の良いジャズのコンピ盤」かと思った。しかし、ジャズ盤というのは「聴いてみるもの」である。
冒頭の「Prompt」の洒落たフェンダー・ローズの音、軽めだがソウルフルで歌心溢れるサックス&トランペット。端正でソフト&メロウな、エレクトリック・ビートを刻むリズム隊。一聴すると、フュージョン・ジャズかな、と思うのだが、リズム&ビート含めて、しっかりと「純ジャズ」している。
選曲も1975年リリースらしく、フレディ・ハバードの「ジブラルタル」、ケニー・ドーハムの「ブルーボッサ」が入っていて、この演奏が、これまた「小粋」なのだ。クインシー・ジョーンズ・オーケストラやディジー・ガレスピー楽団に参加した、いぶし銀トランぺッター、ベニー・ベイリーがゲスト参加していて、これがまた、雰囲気の良い、リリカルで耽美的でスムースなトランペット&フリューゲルホーンを聴かせてくれる。
ガリガリ硬派の純ジャズ志向の欧州ジャズでは無く、どこかポップでライトで明るいエレ・ジャズ。それでいて、しっかりと「純ジャズ」しているから隅に置けない。リラックスして気楽に聴ける「小粋なジャズ」盤。これが、1975年のスイスでリリースされたというから驚きである。
でもなあ、このジャケットは無いよなあ。ほんと、最初見た時は「お洒落な聴き心地の良いジャズのコンピ盤」かと思いましたよ。
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