パティトゥッチの初リーダー作
管楽器やピアノに比べると、その総数は少ないが、優秀なジャズ・ベーシストは、どの時代にも存在する。僕が最初に認識したジャズ・ベーシストは「ロン・カーター」。
そして、歴史を遡って「チャールズ・ミンガス」と「ポール・チェンバース」。ジャズを聴き始めてから、第一線の登場してきたベーシストも沢山いる。そんな中で、印象に残っている1人が「ジョン・ジョン・パティトゥッチ(John Patitucci)」。
『John Patitucci』(写真左)。1987年の作品。邦題『ジョン・パティトゥッチ・デビュー!』。ちなみにパーソネルは、John Patitucci (b), Michael Brecker (sax), hick Corea (p), John Beasley, Dave Whitham (syn), Dave Weckl, Vinnie Colaiuta, Peter Erskine (ds)。チック・コリアの「チック・コリア・エレクトリック・バンド」のメンバーだった時に制作されたパティトゥッチの初リーダー作。
ジョン・パティトゥッチは1959年12月生まれ。今年で63歳のベテランの域に達したジャズ・ベーシストである。アコースティック、エレクトリックのどちらのベースについても、超絶技巧なテクニックを駆使して、流麗なフレーズとビート感溢れるベースラインを弾き回す。特に、エレクトリックの6弦エレベのパフォーマンスは、エレギのパフォーマンスと間違えられるほどだった。
そんな超絶技巧で流麗でビート感溢れるパティトゥッチのベースが、心ゆくまで楽しめるのが、この『ジョン・パティトゥッチ・デビュー!』。音の雰囲気は、チック・コリア・エレクトリック・バンドを踏襲しているが、端正でメロディアスな楽曲をメインに、パティとウィッチの流麗なベース・ソロと、躍動感溢れるベース・ラインが全面に押し出されていて、なかなか聴き応えのあるフュージョン・ジャズ盤に仕立て上げられている。
フロント楽器については、マイケル・ブレッカーのサックスとチック・コリアのキーボードがメインだが、マイケルとチックのバックに回った時のパティトゥッチのエレベは、超絶技巧なベースラインでありながら、しっかりとフロント楽器を支え、フロント楽器を引き立て、フロント楽器を鼓舞する。
リズム・セクションに回った時のそのベーシストとしての能力の高さは相当に高いものがる。当時、チックが、自らのバンドのベース担当として白羽の矢を立てた訳が良く判る。特に、管楽器や鍵盤楽器と同等の、高速なアドリブフレーズを駆使したインタープレイは、バンド・サウンドに新しい可能性を感じさせてくれる。
個性に乏しいとか、いろいろ言われた初リーダー作であるが、ベーシストとして、リズム・セクションに回った時の卓越した能力の高さ、テクニックの超絶技巧さはこのデビュー盤を通じて、とても良く理解出来る。
フレーズの弾き方とか、音色とか、音の大きさとか、明確な個性を求める向きも判らないわけではないが、リズム・セクションを構成する主要楽器のひとつであるベースに関しては、リズム・セクションに回った時の、しっかりとフロント楽器を支え、フロント楽器を引き立て、フロント楽器を鼓舞する、そんな卓越した能力の高さが、まずは一番注目される能力だろう。
そういう点では、このパティトゥッチの初デビュー作は合格点。パティトゥッチのベースの特徴が良く判って、意外と聴き応えがある。
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