Evans-Eubanks の素敵なデュオ
「小粋なジャズ」盤というのは、昔の、そう、ハードバップ時代のアルバムばかりが対象では無い。現代のメインストリーム・ジャズの新盤の中にも、聴き応えのある「小粋なジャズ」盤は、結構、耳にすることが出来る。ジャズの歴史100年の中で培われた「小粋なフレーズ」や「小粋な展開」を十分に踏まえて、新しいジャズを創造していることが良く判る。
Evans-Eubanks Experience『EEE』(写真左)。2022年3月のリリース。ちなみにパーソネルは、Orrin Evans (p), Kevin Eubanks (g)。今年47歳の中堅ピアニスト、オリン・エヴァンス。そして、今年64歳のベテラン・ギタリスト、ケヴィン・ユーバンクス。年齢差が17、フィラデルフィア繋がりのデュオ・パフォーマンス。
冒頭のジャズ・ファンクとボサノバのグルーヴが融合した様な、ユーバンクス作の「Novice Bounce」を聴けば、このデュオ・パフォーマンスがただものではないことが良く判るかと思う。時にダイナミックにメリハリのある展開を、そして、時にジェントルで流麗なギター。切れ味良く、硬質だがメロディアスなフレーズのピアノ。このギターとピアノが絶妙にユニゾンし、ハーモニーし、対峙する。上質のデュオ演奏。
バラード曲の「Dreams of Lovin' You」や「Dawn Marie」では、適度なテンションを保ちながら、息を吹きかける様な繊細さを伴ったユッタリとしたフレーズで、エヴァンスとユーバンクスが絶妙のインタープレイを繰り広げる。フレーズの拡がりと奥行き、そして、アップダウン。ピッタリと息の合った、スリリングで心地の良いデュオ・パフォーマンスは聴きどころ満載。
即興演奏がメインの「I Don't Know」は、ほとんどフリーでモーダルな掛け合いは実にスリリング。エヴァンスとユーバンクスのテクニックの高さを存分に活かしたインタープレイには、思わず息を吞むほどだ。音域の幅を十分に活かして、ブルージーな即興フレーズが次々に浮かんでは消えていく。このデュオの実力の高さを再認識する。
ジャズのデュオ演奏については、ジャズの歴史上、優れたパフォーマンスが多く存在するが、この2022年のエヴァンスとユーバンクスのデュオ演奏は、ジャズの歴史上の他の優れたパフォーマンスに匹敵する内容だと僕は思う。こういう優れた内容のデュオ盤が、さりげなくリリースされるとは、まだまだジャズは深化し続けている、ということを強く実感するのだ。
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