ジャズ喫茶で流したい・247
アラン・ブロードベントはジャズ・ピアニスト。1947年生まれ、ニュージーランド、オークランド出身。今年で75歳のレジェンド級のピアニスト。
どこかで聴いたことがある名前やな、と思って調べてみたら、ナタリー コールのアルバム『Unforgettable... with Love』のレコーディングに参加していたピアニストであり、チャーリー・ヘイデンのアルバム『Quartet West』にピアニストとして参加、ポール・マッカートニーのアルバム『Kisses on the Bottom』には、オーケストラのアレンジャー&指揮者として参加している。
Alan Broadbent Trio『New York Notes』(写真左)。2018年4月と11月の録音。ちなみにパーソネルは、Alan Broadbent (p), Harvie S (Harvie Swartz) (b), Billy Mintz (ds)。リーダーは、ピアノのアラン・ブロードベント。リーダー作は生涯20作を優に超えているいるが、この盤は、そんなブロードベントの最新作。73歳での録音になる。
本作はブロードベントの自宅にあるプライベート・スタジオ(RVS Studio)で、2018年に録音された音源とのこと。ベースのハービー S は、ボストンのバークリー音楽大学時代からの友人。ドラムのビリー・ミンツは、LA時代に一緒にプレイしていた気心知れたドラマー。演奏を聴けば判るが、トリオの3者、息がピッタリ合った、素敵なインタープレイを聴かせてくれる。
トリオ演奏の雰囲気は、現代のバップなピアノ。ネオ・バップ・ピアノとでも形容出来る、コンテンポラリーなバップ・ピアノである。バップ・ピアノと言えば、バド・パウエルから始まり、トミー・フラナガンやケニー・ドリュー、デューク・ジョーダンらの名前が浮かぶが、そんな旧来のバップ・ピアノとは、音の切れ味、音の透明度、フレーズ展開のテクニック、どれもが全く異なる。異なるというか、全ての面で深化している。
冒頭の「Clifford Notes」は、タイトル通り、伝説の早逝の天才トランペッター、クリフォード・ブラウンに捧げた曲。軽快な4ビートのトリオ演奏がまさに「バップ」。続く「Minority」は、ジジ・グライスの曲だが、どこかで聴いたことが、と思って記憶を辿ったら、ビル・エヴァンスの初期の名盤『Everybody Digs Bill Evans』のオープニングを飾った曲。ライトでエヴァンス風のバップ・ピアノが映える。
バラード曲の「 I Fall in Love Too Easily」や「On a Misty Night」も、バップ・ピアノのマナーで弾き進めるが、実に「流麗」で「端正」。まるで唄うが如くのフレーズの連続で、弾きまくるだけでは無い、歌心をしっかり忍ばせた、ブロードベントならではのバップ・ピアノ・バラードを聴かせてくれる。
こういう現代のバップ・ピアノ・トリオの好盤があるとは知らなかった。ネットでのレコメンド情報さまさまである。ちょっとバップなピアノ・トリオを聴きたい、と思った時に、意外と繰り返し手にするトリオ盤になっている。
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