ピム・ヤコブスの「この一枚」
「小粋なジャズ」を求めて、ピアノ・トリオをネットで漁っていたら、懐かしいピアノ・トリオ盤に遭遇した。ちょうど、僕がジャズを本格的に聴き始め13年目。ジャズの良し悪しや特徴が自力で理解出来る様になった頃、とあるレコード屋で、このピアノ・トリオ盤を発見した。確か、Philips原盤の日本フォノグラムから発売された日本盤だったと記憶する。ちょっと試聴させて貰って、即ゲットでだった。
Pim Jacobs『Come Fly With Me』(写真左)。1982年の録音。ちなみにパーソネルは、Pim Jacobs (p), Ruud Jacobs (b), Peter Ypma (ds)。オランダの有名ジャズ・ピアニスト、ピム・ヤコブスがリーダーのピアノ・トリオ編成。ちなみに、ベースのルード・ヤコブスは、ピム・ヤコブスの弟。ドラムのピーター・イプマもオランダ出身のジャズ・ドラマー。オール・オランダのピアノ・トリオである。
ピム・ヤコブスは、1934年10月、オランダのヒルフェルスム生まれ。1996年7月に、61歳で鬼籍に入っている。オランダでは有名なジャズ・ピアニストで、傍らで、ラジオおよびテレビ番組のプロデューサーとして働いたり、音楽番組の司会を務めたりしている。ネットで経歴を振り返ってみて、リーダー作は多く無い。サイドマンとしてのレコーディング参加もさほど多く無い。
しかし、このピアノ・トリオ盤『Come Fly With Me』は、突出して、その出来が素晴らしい。まず、ピム・ヤコブスのピアノが良い。端正でテクニック優秀、歯切れが良くて、メリハリがキッチリ効いた、優等生的なハードバップなピアノである。フレーズもハードバップ時代のコードに沿った、判り易いフレーズをメインにしていて、とにかく、聴き易く判り易い。
オランダのジャズ・ピアノなので、当然、ファンクネスは皆無。しかし、そこが欧州ジャズらしくて良い。変に粘ったり、アーシーになったりしない、端正で歯切れの良い、どこかクラシック・ピアノの雰囲気を想起させる弾き回しは健康的。ベースとドラムのリズム隊は、決して前に出ず、ピム・ヤコブスのピアノを支え、引き立てる役に徹していて清々しい。
ピアノ・トリオ演奏の教科書の様なパフォーマンスがこの盤にギッシリ詰まっている。選曲もスタンダード曲がメインで、とにかく聴き易い。それでいて、ジャジーでブルージーな「ツボ」はしっかり押さえていて、スインギーな弾き回しと合わせて、しっかり、純ジャズしているところがこのトリオ盤の「肝」。難しいこと考えずに、歯切れ良くスインギーなピアノ・トリオを楽しむのに最適な盤。ピム・ヤコブスは、この一枚のトリオ盤の存在だけで、僕の記憶の中にその名を留めている。
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