「マッケンナ」を知っていますか
「小粋なジャズ」をピックアップしては聴いている。最近は酷暑の日々。フリー・ジャズはもとより、複雑なモード・ジャズなど、難しいジャズはいけない。暑苦しく感じて息が詰まる。「小粋なジャズ」の中でも「判り易くて爽快感のある」盤を探しては、涼を求めている毎日である。
Dave Mckenna『The Piano Scene of Dave Mckenna』(写真左)。1958年の録音。ちなみにパーソネルは、Dave McKenna (p), John Drew (b), Osie Johnson (ds)。「Three-hand effect(3本の手)」の使い手、知る人ぞ知る白人ピアニスト、デイブ・マッケンナの2枚目のリーダー作になる。
デイブ・マッケンナは1930年、米国生まれで、1950年代半ばから活躍をしたピアニスト。2008年10月に逝去。「Three-hand effect(3本の手)」を基にしたスイング・スタイルが特徴で、一般的な知名度の低さの割に、ジャズ・ピアノの進化の上では重要な人物の1人とされる。確かに、マッケンナのピアノを聴いていると、他のピアニストの弾き回しの響きと明らかに異なることが良く判る。
Three-hand effect(3本の手)」とは、「右手・左手単独の演奏に加え両手の主に親指を組み合わせてあたかも3本目の手があるかのような演奏を行う」(Wikipediaより)こと。クラシック・ピアノの有名なテクニックの1つで、このクラシックのテクニックをジャズに応用して、デイブ・マッケンナは、個性的なピアノ・パフォーマンスを展開している。
この『The Piano Scene of Dave Mckenna』においても、クラシック・ピアノの様に端正で流麗な、そして、良い意味で、とても賑やかなパフォーマンスが特徴。ガンガンに弾きまくっているのだが、耳触りにはならない。フレーズの弾き回しがスインギーで、とても整ったバップ・ピアノに聴こえる。故に、ラウンジ・ピアノっぽくはならない。但し、ファンクネスは希薄。
例えて言うなら「アート・テイタムに、テクニックを最高から一段落として、バップなピアノを弾かせた様な」、バリバリ弾きまくるのだが、タッチが流麗で正確な為、耳触りに響くことが無い。「Fools Rush In」「I Should Care」などのスタンダード曲から、当時のポップス曲のドリス・ディの「Secret Love」、そして、マッケンナのオリジナル曲まで、良い塩梅でバランス良く収録された全12曲。聴いていて心地良く楽しく響くピアノである。
この盤では、とにかく、マッケンナが弾きまくる。数カ所、短いベース・ソロが入るが、基本的にベースとドラムはリズム・キープに徹している。とにかく、マッケンナが全編に渡って、端正でハイテクニックでスインギーなピアノを弾きまくっている。歯切れが良いタッチ。間違いや淀みの無いアドリブ・フレーズ。聴いていて、とにかく爽快である。
ピアノを模したカラフルなジャケットが印象的。ジャケ良し、内容良し、聴いていた「ホホゥ」と思わず感嘆する「小粋なジャズ」の優秀盤。ほんと、久し振りに「再会」した盤でしたが、聴いてみると、初めて聴いた印象と全く変わらない音が、この盤に詰まっていて、ちょっと感動しました。
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