エルヴィンのJCへのメッセージ
エルヴィン・ジョーンズのドラミングがお気に入りである。もともとは、ジャズを聴き始めた頃、ジョン・コールトレーンの「伝説のクインテット」の諸作を聴く中で、ドラムのパフォーマンスがとても気に入って、そのドラムを叩いているのが「エルヴィン・ジョーンズ」だった。それ以降、40年以上が経過した今でも、エルヴィン・ジョーンズのドラミングはお気に入りである。
Elvin Jones『Dear John C.』(写真左)。1965年2月23 & 25日の録音。ちなみにパーソネルは、Elvin Jones (ds). Charlie Mariano (as), Roland Hanna (p, 1, 3, 8), Hank Jones (p, 4, 5, 7), Richard Davis (b)。リーダーのドラマー、エルヴィン・ジョーンズが、まだコルトレーンの下にいた頃、コルトレーンがフリー・ジャズに染まりだした頃、ちょうど、大名盤『A Love Supreme(至上の愛)』の後の録音になる。
このエルヴィンのリーダー作、意味深なタイトルが付いている。まだ、コルトレーンの下にいたのにも関わらず、「親愛なるジョン・コルトレーン」。何だか他人行儀なタイトルである。この盤の内容がコルトレーンに対する、何らかのメッセージ、若しくは示唆、であることを感じさせるタイトルである。ウィットに富んでいる、ととるか、アイロニーに富んでいる、ととるか。
この盤を聴けば、この盤の内容は、モーダルでシーツ・オブ・サウンドを駆使した、当時、限りなく先進的で尖ったハードバップなジャズがてんこ盛り。コルトレーンのリーダー作で言うと、Atlanticレーベルからの『Coltrane Jazz』や、Impulse!レーベルからの『Coltrane』辺りの音の志向をベースとしている様で、そこから、さらにモーダルな展開の充実度を上げ、流麗でスピード感のある演奏にステップアップさせている。
収録された演奏自体は優れたもので、特に、チャーリー・マリアーノのアルト・サックスが好調だ。ピアノのハナもハンクもモーダルな展開について、しっかりと対応していて立派。特に、ハンクのモーダルなピアノは堂に入っていて、70年代の「グレイト・ジャズ・トリオ」での圧倒的モーダルなパフォーマンスを先取りしている。デイヴィスのベースも申し分無く、勿論、リーダーのエルヴィンのドラミングは、ポリリズミックで、変幻自在、緩急自在、硬軟自在で絶好調。
恐らく、エルヴィンは、この辺りの音の志向のジャズ、モーダルでシーツ・オブ・サウンドを駆使した、当時、限りなく先進的で尖ったハードバップなジャズを、コルトレーンとやり続けたかったのでは無いか、と僕は感じている。エルヴィンは、フリーに傾くコルトレーンに、心情的に「ついていけなくなりつつあった」のでは無いか。それでも、コルトレーンはエルヴィンが大好きなジャズマン。「俺はコルトレーンと、本当はこんな感じのジャズがやりたいんだよ」と言う様なメッセージが、この盤に込められている感じがしてならない。
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