ダニロ・ペレスのピアノを愛でる
ダニロ・ペレス(Danilo Pérez)は、パナマ出身のジャズ・ピアニスト。1965年12月29日生まれなので、現在56歳。耽美的でリリカルな現代ジャズ・ピアニストの中堅的存在。リーダー作は、1993年以降、現在まで10数枚。どちらかと言えば、サイドマンとしての客演アルバムが多い。ウェイン・ショーターとの共演を始め、レジェンド級のジャズマンとの共演も多い。僕は、ショーターのリーダー作でペレスの名を知った。
Danilo Pérez『...Till Then』(写真左)。2003年2月24-26日、NYの「Avatar Studio」での録音。Verveレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Danilo Pérez (p), Lizz Wright (vo), Donny McCaslin (ss), John Patitucci (b), Ben Street (b), Brian Blade (ds), Adam Cruz (ds, steel pan, perc)。録音当時、ペレス37歳。当時の現代ジャズにおける「腕に覚えのある」中堅どころが集結。リズ・ライトがボーカルとして参加。
ダニロ・ペレスのピアノは、耽美的でリリカルで流麗。その特徴が強く出ていて、この盤を聴いて思うのは、このピアニストは「総合力で勝負する」タイプでは無いということ。どこか、チック・コリア、ブラッド・メルドーの影が漂うが、彼らほど尖ってはいない。柔和で優しい、しっかりとした耽美的でリリカルなタッチがペレスの個性だろう。
テクニックは優秀で、その弾き回しは流麗そのもの。シンプルだけど、テクニックのある弾き回しがゆえ、フレーズがマンネリに陥ることは無く、逆に、シンプルではあるが、多彩でバリエーション溢れる展開が素敵なピアノである。聴いていてホッとするし、聴いていて和やかになる。モーダルなフレーズもその流麗さ故に、難解に響かないところがとても良い。
テクニックに優れたピアニストである所以は、リズ・ライトのボーカルの「歌伴」にも聴くことが出来る。3曲目「....Till Then」と、9曲目「Fiddle and Drum」の2曲にリズ・ライトのボーカルを聴くことが出来るが、この2曲でのペレスのピアノ伴奏がとても良い雰囲気。伴奏上手は「名盤請負人」でもある。ペレスには、どこかトミー・フラナガンの影も感じるのだ。確かに、ペレスはサイドマンでの客演がかなり多い。
現代ジャズ・ピアノの環境の中では、ちょっと地味な存在のペレスではあるが、このリーダー作については、ペレスのピアノの個性を確認するに打って付けのアルバムだと思います。意外と難しいことをやっているんですが、テクニックがあるピアニストなので、難解にならずに、逆に流麗で奥が深い、アーティステックな内容が魅力的なアルバムに仕上がっています。
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