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2022年7月21日 (木曜日)

ジャズ喫茶で流したい・244

マンフレート・アイヒャーによって、1969年に設立された欧州のジャズ・レーベル「ECM(Edition of Contemporary Music)」。ECMレーベルは、ジャズについては「典型的な欧州ジャズ」を旨とする。西洋クラシック音楽の伝統にしっかりと軸足を置いた「ECMの考える欧州ジャズ」。

21世紀に入ってもなお、ECMレーベルは活発な活動を継続している。1969年の設立以降、停滞、中断の期間が全く無いのが凄い。21世紀に入ってからは、欧州各国の欧州ジャズの優れた才能に着目してリーダー作を制作させていて、ECMレーベルは名実共に「欧州ジャズを代表しリードする老舗のジャズ・レーベル」となっている。

Mathias Eick『Skala』(写真左)。2009年12月〜2010年1月の録音。ちなみにパーソネルは、Mathias Eick (tp), Andreas Ulvo (p), Audun Erlien (el-b), Torstein Lofthus (ds), Gard Nilssen (ds), Morten Qvenild (key), Tore Brunborg (ts), Sidsel Walstad (harp)。リーダーのマティアス・アイクはノルウェー出身のトランペッター。パーソネルを見渡せば、ノルウェー出身のミュージシャンで固めた「純ノルウェー」ジャズである。
 

Mathias-eickskala

 
アイクは1979年生まれなので、今年で43歳。バリバリ中堅のジャズマン。北欧ジャズらしい、耽美的でリリカル、明瞭で流麗、哀愁感溢れるトランペットを聴かせてくれる。ECM独特の深いエコーに乗って、浮遊感溢れる、墨絵の様な複雑な拡がりのあるトランペットはアイクならでは。加えて、今回のリーダー作は全曲自身のオリジナルで構成されていて意欲的。

北欧ジャズらしい響きと旋律の中で、従来の純ジャズでも無く、クロスオーバー&フュージョンなジャズでも無い、新しい感覚の「21世紀のニュー・ジャズ」。奏でられるメロディーが実に聴き易く、ユッタリとしていて、それでいて、即興演奏の妙がそこかしこに散りばめられている。即興演奏に軸足をしっかり置いている以上、この演奏内容はしっかりと「ジャズ」であると思う。

北欧ジャズの、ノルウェー・ジャズの「今」を聴く想いの、21世紀のノルウェー・ジャズの「創造力の充実」と「即興演奏力の高さ」をビンビンに感じる優秀作。何となく「ジャズ・ロック」な雰囲気も漂う、どこか、北欧の「ウエザー・リポート」、若しくは、北欧の「パット・メセニー・グループ」の様な、良い意味で、コンテンポラリーなジャズ・ロックな雰囲気も僕は好きだ。
 
 

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