真夏のヘビロテ・ピアニスト
暑い。暑すぎる。酷暑である。ここ千葉県北西部地方で、気温36〜7℃。朝の9時あたりで30℃を越える。もう朝から真夏日。外へ出ることは出来ない。身の危険を感じる。しかし、この猛暑の夏になると聴きたくなるジャズがあるから面白い。Dollar Brand(Abdullah Ibrahim)である。彼の「アフリカン・ネイティヴ」なジャズの音世界が無性に聴きたくなる。
Dollar Brand(Abdullah Ibrahim)『Zimbabwe』(写真左)。1983年5月29日、独ルートヴィヒスブルクの「Tonstudio Bauer」での録音。ちなみにパーソネルは、Dollar Brand /Abdullah Ibrahim (p, ss), Carlos Ward (as, fl), Essiet Okun Essiet (b), Don Mumford (ds)。アフリカ回帰なレジェンド・ピアニスト、アブドゥーラ・イブラヒム(ダラー・ブランド)の好盤である。
ジャズはアフリカン・アメリカンが育んだ音楽であるが、アブドゥーラ・イブラヒム(ダラー・ブランド)は、そんなジャズを生み出したアフリカン・アメリカンのルーツであるアフリカの「ルーツ音楽」をベースにジャズを展開したユニークなピアニスト。この盤でも、そんな「アフリカン・ネイティヴ」な雰囲気の音世界がてんこ盛り。これが、猛暑の夏の雰囲気に合うんですね〜(僕だけかなあ)。
アフリカの土着音楽の響き、哀愁感と郷愁感がない交ぜになった、パーカッシヴでエスニックな音世界。このユニークな音世界を彷彿とさせるフレーズを、ハイテクニックなピアノで紡ぎ上げて、モーダルなジャズに昇華している。そして、イブラヒム自らのソプラノ・サックスや、カルロス・ワードのアルト・サックスやフルートの音色が、そんな「アフリカン・ネイティヴ」な雰囲気を増幅している。
この盤の良さは「適度な余裕」。ロックで言うと「レイドバック」しているところ。「アフリカン・ネイティヴ」な雰囲気だからといって、過度のストイックにならず、どこかポップさを宿して、「くつろいだ、リラックスした」ホンワカなアフリカの土着音楽の響きがとても良い。聴いていて、スッとリラックスしていく感じがとても素敵だ。
もともとの名前が「Dollar Brand(ダラー・ブランド)」。1970年前後に、イスラム教に改宗し「Abdullah Ibrahim(アブドゥーラ・イブラヒム)」に改名したので、ダラー・ブランド=アブドゥーラ・イブラヒム、同一人物である。僕は、イブラヒムの「アフリカン・ネイティヴ」な雰囲気の音世界が大好き。特に、真夏に良く聴く「真夏のヘビロテ・ピアニスト」である。
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