« ジャズ喫茶で流したい・237 | トップページ | 北欧のピアノ・トリオの「今」 »

2022年6月 8日 (水曜日)

2014年のホールズワース 『Jarasum Jazz Festival 2014』

アラン・ホールズワース(Allan Holdsworth)が亡くなったのは、2017年4月15日。既に4年が経過したことになる。享年70歳は今では「若すぎる」。前年の2016年に16年振りのソロ・アルバムをリリースした矢先の出来事であり、2017年4月10日にサンディエゴで、彼の最後のギグを元気に演奏していたというのだから、余りに急すぎる「死」であった。

Allan Holdsworth『Jarasum Jazz Festival 2014』(写真左)。2014年10月5日、韓国ジャラサムのジャズフェスでのライブ録音。ちなみにパーソネルは、Allan Holdsworth (g), Jimmy Haslip (b), Gary Husband (ds)。ホールズワース、鉄壁のトリオ演奏。ホールズワースのオフィシャル・ライヴ・アーカイヴ・シリーズの第5弾になる。

ホールズワースのエレギは、アームを駆使した捻れフレーズに、独特で流麗なレガート奏法をメインにバリバリ弾きまくるのだが、このライヴ盤でも同様な、テンションの高い、ハイテクニックで疾走感溢れる演奏が繰り広げられている。このライヴ録音当時、ホールズワースは67歳。このガンガンに高速フレーズを、アームを駆使してグチョングチョンに弾きまくるのだから凄い。還暦を過ぎた大ベテラン・ギタリストの仕業とは思えない。
 

Allan-holdsworthjarasum-jazz-festival-20

 
即興性を重んじたパフォーマンスなので、ジャズの範疇に留まっているが、このホールズワースのエレギは従来のジャズの範疇から、はみ出している。しかし、リズム&ビートはジャジーで、決してロックでは無い。加えて、ファンクネスは皆無。とにかく高速なカッ飛び&捻れフレーズを弾きまくる訳で、伝統的なモダン・ジャズの範疇の演奏では無い。いわゆるニュー・ジャズの範疇で、そこがホールズワースの個性であり、孤高の存在である所以である。

このライヴ盤でのホールスワーズのパフォーマンスは若かりし頃のそれと全く変わらない。こんな過激なエレギをフロントにした、バックのリズム隊、ハスリップのベース、ハズバンドのドラムについては、これまた「凄い」の一言。ホールズワースの最高レベルのパフォーマンスを向こうに回して、全くひけを取らない、対等に相対し、強烈なインタープレイを丁々発止とやりあう。このバンドの最高に近いパフォーマンスの記録である。

これだけ、先進的で過激、強烈な個性の下、アームを駆使した捻れフレーズ、独特で流麗なレガート奏法を弾きまくる、ジャズ・ギタリストにおける「代表的スタイリスト」の1人でありながら、生前はなかなか環境に恵まれなかったようだが、死後、リリースされ続けている「オフィシャル・ライヴ・アーカイヴ・シリーズ」はどれもが素晴らしい内容。このアーカイヴ・シリーズのリリースによって、ホールスワーズのギターが再評価されることを強く願っている。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
 
 ★ AORの風に吹かれて        
【New】 2022.03.13 更新。

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2022.03.13 更新。

  ・遠い昔、懐かしの『地底探検』

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2022.03.13 更新。

  ・四人囃子の『Golden Picnics』

 
Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から11年2ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 
 

« ジャズ喫茶で流したい・237 | トップページ | 北欧のピアノ・トリオの「今」 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« ジャズ喫茶で流したい・237 | トップページ | 北欧のピアノ・トリオの「今」 »

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  

カテゴリー