リッチの楽しいビッグバンド
バディ・リッチのビッグバンド盤を聴き直している。バディ・リッチのビッグバンドはとても判り易い。ユニゾン&ハーモニー、アンサンブル、チェイスなど、ビッグバンドの基本をしっかり判り易く押さえて、アレンジもビッグバンド演奏の「ツボ」を押さえた、簡素で判り易いアレンジで、聴いていて、とても判り易い。
Buddy Rich『Big Swing Face』(写真)。1967年2月22–25日, 3月10日、米国ロサンゼルスの「Chez Club」でのライヴ録音。Buddy Rich (ds) が率いる The Buddy Rich Big Band のライヴ・パフォーマンスを記録した好盤である。
1967年といえば、ジョン・コルトレーンが亡くなった年。ロック&ポップスに大衆音楽の人気を奪われ、ジャズが斜陽に差し掛かった年。この時期は、ジャズはフリー・ジャズの台頭、ジャズのポップ化など、ジャズの「質」の面で複雑化、俗化が進み、聴かせるジャズ、聴いて楽しいジャズの存在は矮小化しつつあった。
そんな環境の中で、バディ・リッチのビッグバンドは、ビッグバンドの王道的な演奏を繰り広げ、判り易い、聴いて楽しいビッグバンド・ジャズを貫き通しているところが立派だ。
このライブ盤を聴いて思うのは、このビッグバンドはとても親しみ易いということ。難しいことは一切やっていない。スイング時代から演奏し続けられてきた、スインギーでダイナミックなユニゾン&ハーモニー、アンサンブル、チェイスなど、ビッグバンドの基本をしっかり押さえた演奏で魅了する。
冒頭の「Norwegian Wood」は、当時、大人気だった Lennon & McCartny の曲で、とても洒落たアレンジで、この難度の高いロック曲をしっかりとビッグバンド・ジャズの演奏として、上手くカヴァーしている。逆に、ジャズの有名スタンダード曲「Love for Sale」も、それまでに無い、新しい感覚のアレンジで、まるで新曲の様な雰囲気で聴かせてくれる。
そんな、お洒落で小粋な、正統派ビッグバンドを牽引しているのが、バディ・リッチのドラミング。大音量&大迫力、ハイテクニックなドラミングでビッグバンド全体を鼓舞し牽引する。ビッグバンドのメンバーもこのリッチの迫力あるドラミングに鼓舞されて、スインギーでダイナミックなパフォーマンスを繰り広げる。
とても、聴き応えのある、聴いて楽しいビッグバンド・ジャズのライヴ盤です。難しいことは言わずに、このシンプルで判り易いビッグバンドに耳を傾けると、ジャズという音楽にとって、何が大切なのか、を考え直させてくれます。バディ・リッチのビッグバンド、やっぱりなかなか良い感じです。他のアルバムについても、もっと聴きたい想いに駆られました。
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