ジャズ喫茶で流したい・240
欧州ジャズは奥が深い。まず、歴史が古い。1950年代からジャズは欧州各地で演奏されている。そして、国毎に「ジャズの質と個性」が異なる。国毎にジャズの浸透度合いに濃淡があり、国毎にジャズのスタイルの好みが異なる。
しかも、ネットの時代になるまで、欧州ジャズの詳細な情報がなかなか日本に来なかった。21世紀に入った頃から、欧州ジャズの情報もリアルタイムで入手出来る様になって、欧州ジャズの奥深さを十分に楽しめる様になった。
Eddy Louiss『Recit Proche』(写真左)。2000年4月の録音。ちなみにパーソネルは、Eddy Louiss (org), Jean-Marie Ecay (g), Xavier Cobo (ts, fi), Daniel Huck (as), Julio Rakotonanahary (b), Paco Séry (ds)。ギター、テナー・サックス、アルト・サックスがフロント、オルガン・トリオがバックに控えるセクステット編成。
Eddy Louiss(エディ・ルイス)は、フランスのオルガン奏者。僕は、ペトルチアーニとのデュオ盤で、エディ・ルイスの存在を知った。今を去ること20年ほど前のことになる。テクニック優秀、オルガンの奏法としては、プログレッシブなオルガニストである。オーソドックスな奏法からアブストラクトな奏法まで、幅広くオールマイティーに弾きまくる、実に優れたオルガン奏者である。
ルイスのオルガンは唯一無二。従来のジャズ・オルガンのスタイルや個性を全く踏襲していない。といって、欧州風の教会音楽の中のオルガンの様な重厚さも無い。とてもポップで明るい音色が特徴で、そんな個性的な音色で、オーソドックスなフレーズから、アブストラクトなフレーズまでを弾き分ける。どこの国のジャズ・オルガンにも無い、独特の個性的なオルガンである。
7曲目の超スタンダード曲「Summertime」を聴けば、ルイスのオルガンの個性が良く判る。ファンクネスは皆無。レスリー・スピーカーなどでジャジーさを増幅することも無く、エッジの丸い暖かい音色で、マイナーでジャジーな「Summertime」の有名なフレーズを弾き進めていく。それでも、フレーズにはジャズっぽい翳りが感じられ、ポップでイージーリスニングな音には陥らない。
フレーズの弾き回しが、独特の捻れ方をしてるようで、どこか、プログレッシヴ・ロックのオルガンを聴く様な「攻撃性」をそこはかとなく感じる。飄々とちょっと捻れたフレーズを弾き進めている風でもあり、弾き回し全体の雰囲気は軽快ですらある。
面白いジャズ・オルガン。演奏全体の雰囲気は、決してカッチリとまとまっていない、ちょっとラフなアンサンブルといった調子で、この辺はフランスのジャズらしい雰囲気。どこか郷愁を感じる切なさが底に流れるところも、実にフランスのジャズらしい。ジャズ・オルガンの好盤だと思います。
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