ジャズ喫茶で流したい・238
先日の6月9日は、ジャズ・ピアニストのケニー・バロン(Kenny Barron)の誕生日だったそうだ。Twitterなどでは、誕生日のお祝いで、ケニー・バロンのリーダー作がいろいろ紹介されていた。ケニー・バロンって意外と人気ピアノストなんだなあ、と改めて感心した。
というのも、癖が無く端正なところがバロンのピアノの個性。「これ」といった特徴や癖に欠けるが、平均的に素晴らしいプレイを聴かせてくれる、つかみ所の無い、意外と判り難いピアニスト。平均的に素晴らしいプレイを聴かせるところ、いわゆるピアニストとしての総合力の高さが個性、というのが僕の評価。Twitterで、ケニー・バロンのリーダー作をいろいろご紹介している人が多いのに、ちょっとビックリした次第。
Kenny Barron『Live At Bradley's』(写真左)。1996年4月3ー4日、NYのUniversity Placeのバー「Bradley's」でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Kenny Barron (p), Ray Drummond (b), Ben Riley (ds)。ケニー・バロン、52歳の春の「寛ぎ」のライヴ・パフォーマンスの記録である。
バロンは気合いが入ると、意外と尖った、シビアなピアノを弾く。切れ味鋭く、バリバリとバップなピアノを弾き回し、時にアブストラクトに時にフリーに展開する。Enjaレーベルでの諸作に、そんなバロンのピアノを聴くことが出来る。が、このライヴ盤では、バロンはとても「寛いで」いる。余裕を持って、じっくりとフレーズ展開のバリエーションを楽しむ様な、リラックスした弾き回しがとても良い雰囲気を醸し出している。リラックスした弾きっぷりにこそ、バロンの「総合力勝負の個性」が引き立つ。
そんな「寛いだ」バロンに対して、スインギーに緩やかにバッキングを仕掛けるレイ・ドラモンドのベースとベン・ライリーのブラシが心地良い。とても機微に富んだリズム隊で、バロンの寛ぎに合わせて、柔らかいリズム&ビートで対応し、バロンの弾き回しにバリエーションにクイックに反応する。じっくり耳を傾ければ傾ける程に、このリズム隊の懐の深さを強く感じる。とても良好なリズム隊。
バロンの寛ぎのパフォーマンスは聴き応え十分。難しいことは一切やっていないが、フレーズ展開のバリエーションの変化や、寛ぐほどに度合いを増す「千変万化」なタッチと弾き回し。総合力勝負のピアニスト、ケニー・バロンの面目躍如なライヴ盤である。「ジャケ買い」に十分耐えるジャケットも良い。実はこのライヴ盤、我がバーチャル音楽喫茶『松和』の長年の「息の長いヘビロテ盤」である。
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