バンドネオンの純ジャズ盤です
ジャズに使用する楽器については、特に制限は無い。楽器の類であれば、ジャズは演奏出来る。旋律が弾ける楽器であれば、フロント楽器として、ソロを取ることも出来るし、打楽器であれば、リズム&ビートを担う「リズム隊」の一部を担うことも出来る。まあ、基本的に、クラシック音楽で使用する楽器は全てジャズでも演奏可能だし、民族音楽で使用する楽器も全てジャズでも演奏可能である。
Richard Galliano『New York Tango』(写真)。1996年6月11ー13日、NYでの録音。ちなみにパーソネルは、Richard Galliano (bandoneone), George Mraz (b), Al Foster (ds), Biréli Lagrène (g)。リーダーのリシャール・ガリアーノはバンドネオン奏者。バンドネオン、ベース、ドラムのトリオにギターが入ったカルテット編成。
リシャール・ガリアーノはフランスのカンヌ出身。1950年生まれなので、今年で72歳になる。14歳でバンドネオンに関するアイデアを拡げるためにジャズを聴き始め、トランペット奏者のクリフォード・ブラウンのすべてのコーラスをコピーした、と語っている。「世界アコーディオン・キャップ・コンペティション」で2度優勝。ジャズの世界では1990年代になって知られるようになった。彼のタンゴとジャズのドッキングがユニーク。
ジャズとタンゴの組みあわせは聴いていてとても興味深い。ガリアーノのバンドネオンは生粋の正統派なバンドネオンだが、このジャズ盤での他のメンバーは、ベースがジョージ・ムラーツ、ドラムスがアル・フォスター、ギターがビエリー・ラグレーンと、純ジャズ畑の中でも選りすぐりの3人である。ガリアーノもとてもジャズっぽいラインを弾いていて、このジャズ畑のメンバーとのインタープレイについても違和感は全く無い。これって、凄いなあ。
1曲目ピアソラの「Vuelvo Al Sur」は哀愁たっぷり。バンドネオンの音色の特徴を最大限に活かしていて印象的。3曲目のタイトル曲「New York Tango」は、タンゴらしい畳み掛ける様なリズム&ビートの曲ですが、アル・フォスターのドラムは思いっ切りジャジー。ジャジーなリズムのなかでのタンゴのインプロビゼーション。ガリアーノならでは、でしょう。ラストの「Three Views Secret」は、ジャコの名曲。原曲はトゥーツ・シールマンスのハーモニカが活躍するが、それをバンドネオンに置き換えて、情感豊かに弾き上げている。
バンドネオンも弾き手のテクニックとセンスがあれば、ジャズ演奏の主要楽器として問題無く適用できることを、リシャール・ガリアーノ自身が身を持って証明している。バンドネオンの持つ、哀愁感や切なさ感を強く感じさせる音色は、意外とジャズに合うなあ、とこの盤を聴いて改めて感心しました。ガリアーノのジャズ盤については、もっと掘り下げてみても良いなあと思った次第。
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