未だ過激で捻れるマクラフリン
アラン・ホールズワースの初リーダー作を聴いていて、やっぱり、クロスオーバー系のジャズ・エレギって、ロックよりもバカテクで、ロックよりも尖っていて捻れていないとな、と思った次第。と同時に、やわなロック・ファンはついてこられない、過激でダイナミックで尖ったエレギの始祖「ジョン・マクラフリン」の名前が浮かんだ。で、ライブラリーを漁っていたら、好適な盤に出くわした。
John McLaughlin & The 4th Dimension『The Boston Record』(写真左)。2013年6月22日、米国ボストンの「Berklee Performance Center」でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、John McLaughlin (g), Gary Husband (key), Etienne M'Bappe (b), Gary Husband, Ranjit Barot (ds), Ranjit Barot (voice)。
2013年に行われノースカロライナ、ニューヨーク、トロントなど8カ所を廻ったツアーのボストン公演の演奏を収めたライブ盤になる。ギター、キーボードに、ベース、そして、部分的にダブル・ドラムの厚みのある編成。マクラフリンは1942年生まれなので、録音当時71歳(!)。往年のハードで捻れたエレギに磨きがかかって、大迫力のパフォーマンスである。とても70歳を過ぎた翁とは思えない。
キーボードのゲイリー・ハズバンドは「Allan Holdsworth Group」などで活躍、ベースのエティエンヌ・ムバッペは「The Zawinul Syndicate」などで活躍、そして、ドラムのランジット・バロットはジョン・マクラフリンから「ドラムの最先端の1つ」と評価されるインド人打楽器奏者。現代の最先端のエレクトリック・ジャズをやる上で、申し分の無いラインナップである。
マクラフリンは、若かりし頃、1960年代後半から1970年代の尖りまくった、他の追従を許さないハードなエレギに、約半世紀の年を経て、成熟と余裕、そして更なるバカテクをかまして、このライブで弾きまくっているから凄い。アドリブ・フレーズは大らかに尖って展開し、他の楽器とのインタープレイは更に過激に立ち回る。それでいて、聴き心地は良好で、決して耳に五月蠅くない。成熟と安定のエレ・ジャズである。
ホールズワースが鬼籍に入り、ジョンスコとパットがやや大人しくなって、過激でダイナミックで尖ったエレギ・ギターの担い手もマイナーな存在になりつつある昨今、この大御所マクラフリンが「この過激さ、この捻れ具合」は脱帽もの。スピリチュアルな側面も充実していて、まだまだ現役。逆に、若手ギタリストの奮起を促す様な、素晴らしいパフォーマンスの記録である。
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