フィニアスの短いけれど隠れ名盤
フィニアス・ニューボーン Jr. のリーダー作を聴き直している。フィニアスについては、1931年生まれ、1989年の57歳の若さで逝去するまで、本格的に活動出来たのは、1956年から1962年までと1974年から1979年の、併せて約10年間と短期間になる。しかしながら、フィニアスのリーダー作は20数枚あり、半数近くが、今でも音源が何とか入手出来るのは有り難い。
『Phineas Newborn Plays Again!』(写真左)。1959年5月28日、イタリアのローマでの録音。ちなみにパーソネルは、Phineas Newborn Jr. (p), Carlo Loffredo (b), Sergio Pisi (ds)。
録音当時はお蔵入り音源で、正式にリリースされたのは、1978年になる。ミルス・ブラザーズと欧州ツアーの合間、ローマを訪問した際、イタリアの現地ジャズマンとのトリオ演奏を記録したもの、とのこと。
フィニアスは、トリオ演奏とは言え、3者対等のインタープレイを展開するピアニストでは無い。どちらかと言えば、アート・テイタムやバド・パウエルに近く、ベースとドラムはあくまで「リズム隊」の扱い。リズム隊が優秀な場合は、それに触発されて、化学反応が起きることもしばしば。しかし、リズム隊が水準レベルか、それ以下の場合は、リズム隊にリズムだけをしっかりキープさせて、自分単独でバリバリ弾きまくる傾向がある。
このトリオ演奏の場合、後者の状態に近く、フィニアスは、リズム隊にかまうことなく、リズム隊に自由を与えることも無く、フィニアス自身でバリバリ、ピアノを弾きまくっている。が、これがフィニアスの個性であり、特徴なので、これはこれで良いかと思う。よって、このトリオ演奏では、フィニアスのピアノの個性と特徴が明確に感じ取れる内容になっている。
冒頭の「Night In Tunisia(チュニジアの夜)」を聴けば、フィニアスの硬質で、マイナーではあるが、ブルージーに傾かず、どちらかと言えば、ポジティヴで溌剌とした切れ味の良い弾き回しがとても良く判る。
4曲目の「Bag's Groove」などは、イントロのアレンジが決まらず右往左往するが、演奏が進むにつれ調子を取り戻し、切れ味良くブルージーで重厚なフィニアス節をバリバリ弾き回すところは聴いていて興味深い。
全収録時間は「28分」と短いが、フィニアスのピアノの個性をはっきり確認出来る好盤。ジャケットのイラストもなかなかで、意外とこの盤は「隠れ名盤」ではないか、と思っている。
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