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2022年5月 6日 (金曜日)

フォーチュンの「トレーンの魂」

ジャズにおいて、テナー・サックスの最高峰と言えば「ジョン・コルトレーン&ソニー・ロリンズ」。ロリンズはまだ存命中だが、コルトレーンは、1967年7月、今から55年前、早々に鬼籍に入ってしまっている。

それでも、コルトレーンはテナー・サックスの改革者の1人として、未だにフォロワーは多数、現在、第一線で活躍しているテナー・マンは、必ず一度はコルトレーン・ライクなブロウにチャレンジしているはずである。

コルトレーンには存命中からフォロワーが多数いて、「ストレートなブロウのスタイルの踏襲」派、「フリー&スピリチュアル・ジャズへの傾倒」派、と大きく分けて2種類に分類されるだろう。どちらのフォロワーも、どこかで「コルトレーン・トリビュート盤」をリリースしていて、コルトレーン・ライクなブロウにチャレンジした成果を披露している。

Sonny Fortune『In The Spirit of John Coltrane』(写真)。1999年7月9ー10日の録音。邦題『コルトレーンの魂』。ちなみにパーソネルは、Sonny Fortune (sax), John Hicks (p), Santi Debriano (b), Ronnie Burrage (ds)。何故か良くわからないが、どこか過小評価されてきたサックス奏者、ソニー・フォーチュンの「コルトレーン・トリビュート盤」である。
 

In-the-spirit-of-john-coltrane_1

 
演奏曲はフォーチュン作が7曲、コルトレーン作が2曲。フォーチュンのオリジナルは、コルトレーン作の「Countdown」や「Moment's Notice」からコード進行を借用している様で、しっかりとコルトレーンの楽曲の影響下で書かれている。

収録曲全9曲の楽曲の全てが「コルトレーンの楽曲の雰囲気」で統一されているのはそのためだ。といって、フォーチュンのサックスは、コルトレーンの単なるコピーでは無いので、コルトレーンのリーダー作、といった感じは全くしない。

コルトレーンの音世界をフォーチュン独特のサックスで表現している。その成果は見事。やや軽めの切れ味の良いストレートなブロウ。シーツ・オブ・サウンドなど、高速ブロウでの確かなテクニック、バラード演奏時の歌心。フォーチュンならではのブロウは聴き応え十分。

ジョン・ヒックスのピアノ、サンティ・ディブリアーノのベース、そしてロニー・バラージのドラムによるリズム・セクションが大健闘。また、ゲスト・ミュージシャンも充実していて、コルトレーン作の「オーレ」には、ラシッド・アリとレジー・ワークマンが、フォーチュン作の「フォー・ジョン」にはバタ・ドラムスのスティーブ・ベリオとフリオ・コラッツォが加わっていて、素敵な演奏を繰り広げている。

ジャケ写については、現在、米国Shanachieから発売されている音源のジャケットはイラスト(写真左)、日本キングのパドルホイールから1999年に発売されたCDはフォーチュンの横顔のアップ(写真右)。どちらも雰囲気のある良いジャケです。
 
 

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