ビルの「ラス前」トリオ発掘音源
ジャズ・ピアノの最大のレジェンド、ビル・エヴァンス(Bill Evans)。ビルは、1980年9月15日に51歳で没している。今年で「没後42年」になるのだが、彼の人気は衰え知らず。今でもビルの人気は高く、ジャズ・ピアニストの中でも、ビルのフォロワーは数知れず。ドビュッシー、ラヴェルなどのクラシックに影響を受けた印象主義的な和音は、今ではジャズ・ピアノ演奏の基本の1つになっている。
故に、没後40年以上経っても、ビル・エヴァンスの未発表音源、発掘音源がリリースされる。というか、没後40年以上経って「まだあるのか」と呆れるくらいである。そんなに多くの「非公式録音」が行われていたのか、とも思うし、よく今まで所蔵されていたもんだ、とも思う。しかも、出てくる未発表音源、発掘音源の「音質」が、まずまず〜良好なのにも驚く。
Bill Evans『On A Friday Evening』(写真左)。1975年6月2日、カナダ・バンクーバー「オイル・キャン・ハリーズ」でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Bill Evans (p), Eddie Gomez (b), Eliot Zigmund (ds)。
当時カナダのCHQMでラジオ番組のホストをしていたゲイリー・バークレイのために録音され、彼の人気ジャズ番組CHQMで放送されたもの。バークレイが自宅に持ち帰ったテープが、所有者が2回代わった後、今回、発掘音源としてリリースされた、とのこと。
ビル・エヴァンスの「ラス前」トリオのライヴ演奏。ベースにゴメス、ドラムにジグムント。1975年と言えば、ジャズ界はフュージョン・ジャズの流行前期。そんな「純ジャズの逆風の時代」に、これだけ内容の濃い、濃密なライヴ演奏を繰り広げていたなんて、やっぱりジャズって懐が広いなあ、と思う。発掘音源の音質が良いこともあって、エヴァンス〜ゴメス〜ジグムントの「ラス前」トリオのパフォーマンスの素晴らしさを追体験出来る。
まず、ビルのピアノが好調。バップなタッチで、印象主義的な和音とモーダルな展開をガンガン弾きまくっている。ダイナミックで迫力十分。ゴメスのベースは、そんなビルのバップなピアノに負けないベースラインを繰り出していて、これまた迫力十分。そして、ジグムントのドラムは、そんな迫力十分なビルのピアノとゴメスのベースを受け止めて、最適なリズム&ビートを供給し、演奏全体のビートを支え続けている。
このライヴ盤には、エヴァンス・トリオの代名詞のように愛奏されていた「Nardis」が入っているのだが、いい意味で余分な力が抜けた魅力的な演奏で、エヴァンス〜ゴメス〜ジグムントの「ラス前」トリオのポテンシャルの高さを感じさせてくれる。
エヴァンス〜ゴメス〜ジグムントの「ラス前」トリオも素晴らしかったんやなあ、と再認識させてくれる好ライヴ盤です。
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