欧州の新しい響きの純ジャズ
雑誌Jazz Lifeの「Disc Grand Prix 年間グランプリ」の記事を眺めていて、つくづく思うのは、現代では、意外と欧州でメインストリーム系の純ジャズが深化している様に感じる。本場米国では、どちらかと言えば、静的なスピリチュアル・ジャズや、ラップなどのストリート・ミュージックとの融合を目指したコンテンポラリー・ジャズが、新しいトレンドとなっている様だ。
Emile Parisien『Louise』(写真左)。2021年6月、仏アミアンでの録音。独の「現代の重要レーベル」ACT Musicからのリリース。ちなみにパーソネルは、Emile Parisien (ss), Theo Croker (tp), Roberto Negro (p), Manu Codjia (g), Joe Martin (b), Nasheet Waits (ds)。リーダーのエミール・パリジーンは、1982年生まれのフランス出身のサックス奏者。
リーダーのパリジーンとギターのマニュ・コジア(46歳)はフランス出身、ピアノのロベルト・ニグロ(40歳)はイタリア出身。ドラムのセオ・クロッカー(36歳)、ベースのジョー・マーティン(51歳)、ドラムのナシート・ウエィツ(50歳)は3人とも米国出身。欧州+米国の混成セクステットになる。年齢的にも中堅が中心の充実のセクステットである。
このセクステットの表現する音世界は、従来は米国の新伝承派やM-BASE派がやっていたメインストリーム系の純ジャズ。加えて、その音は懐古趣味なものでは無く、21世紀の現在のメインストリーム系の純ジャズの響きをしっかりと反映して、最先端の「メインストリーム系の純ジャズ」なパフォーマンスが展開されている。
宣伝のキャッチに「現代のヨーロピアン・ジャズとアメリカン・ジャズが有機的に溶け合う、スリリングなグローバル・ジャズ」とあるが、これが実に「言い得て妙」。この盤に溢れるモーダルな音世界は、欧州ジャズの環境だからこそ、深化したものである。モード・ジャズの老舗、米国ジャズの伝統のパワーと、欧州で深化した純ジャズのスタイリッシュさが相互作用を引き起こして、新しい響きの純ジャズを展開している。
全9曲(うち組曲が3曲)聴き応えのある演奏ばかりで感心する。意外と我が国のジャズ・シーンでは注目度は低いみたいだが、この盤に詰まっている最新の「メインストリーム系の純ジャズ」は一聴に値する。もしかしたら、メインストリーム系の純ジャズの深化については、21世紀は「欧州ジャズ」が担うかもしれない。そんな予感がする優秀盤である。
《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
★ AORの風に吹かれて 【New】 2022.03.13 更新。
★ まだまだロックキッズ 【New】 2022.03.13 更新。
・遠い昔、懐かしの『地底探検』
★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2022.03.13 更新。
★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。
★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
東日本大震災から11年1ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
« スクエアの転換点となった重要盤『Rockoon』 | トップページ | フィニアスの最盛期を捉えた盤 »
コメント