フィニアスの最盛期を捉えた盤
Phineas Newborn, Jr.(フィニアス・ニューボーン・ジュニア)。1931年生まれ。1989年、57歳の若さで鬼籍に入っている。彼のピアノは「驚異のテクニシャン」と表現される。オスカー・ピーターソンやアート・テイタムなどの様な流麗なタッチでは無い、ブロックコードの使い方など、パキパキ硬派なタッチ&フレーズが個性的。
『The Great Jazz Piano of Phineas Newborn Jr.』(写真左)。1961年11月21日と1962年9月12日、ハリウッドでの録音。ちなみにパーソネルは、Phineas Newborn Jr. (p), 1961年11月21日の録音が、Sam Jones (b), Louis Hayes (ds)、1962年9月12日が、Leroy Vinnegar (b), Milt Turner (ds)。録音日毎に、ベースとドラムが変わる。
フィニアスの活動中期、一番の活動期最後のトリオ演奏になる。特に、1961年11月21日の録音は、ベースに重量級モーダルなベーシスト、サム・ジョーンズに、名手ルイス・ヘイズがドラムを担当していて、このトリオでのフィニアスのパフォーマンスが素晴らしい。
フィニアスの個性全開で、とても気持ち良くピアノを弾きまくっている。恐らく、ドラムのヘイズとの相性が良いのだろう。サム・ジョーンズのベースも、どちらかと言えば「ポール・チェンバース」寄りなので、所謂、例の名盤『We Three』のリズム隊に良く似ていて、フィニアスとしても相当に弾き易かったはずである。
逆に、1962年9月12日の録音では、リズム隊がちょっと弱くて、フィニアスは、リズム隊を置いてきぼりにして、自分のピアノを自分の世界の中でガンガンに弾きまくっている様に聴こえる。それでも、フィニアスのピアノだけ取ってみれば、それはそれは素晴らしいもので、フィニアスのピアノの個性が手に取るように判る演奏になっているから面白い。
「ジャズシーンにおけるゴッホ」と形容されるフィニアス。生前認められないという焦燥感から精神に異常をきたしていたとのこと、実はこの盤の後、リーダー作の作成のペースは落ちていき、同時に、それが故の「妖気漂う緊張感」にバラツキが生じ、パーフォーマンスのレベルは徐々に落ちていく。
「メジャーになりきれなかった天才」の最盛期の演奏が、この盤に刻み込まれている。傾聴に値する名盤である。
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61年のドラマーはロイヘインズではなく、ルイスヘイズでは?
投稿: s.ichida | 2022年5月 3日 (火曜日) 01時58分
ご指摘ありがとうございました。
記憶がごちゃ混ぜになって、間違えたようです。
加えて、事前確認を怠った様で、さっそく修正させていただきました。
今後ともヴァーチャル音楽喫茶『松和』をよろしくお願いします。
投稿: 松和のマスター | 2022年5月 3日 (火曜日) 07時30分