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2022年4月27日 (水曜日)

ジョアンと川崎の小粋なデュオ盤

最近、ジョアン・ブラッキーンのソロ・ピアノ盤を聴いたこともあって、ジョアンのリーダー作を幾つか聴き直した。振り返ってみれば、ジョアンのピアノって、意外と自分のお気に入りやったんやなあ、ということが判った。意外と枚数を聴いている。そして、そのアルバム探しの中で、まだ聴いたことの無いアルバムに出くわした。

Joanne Brackeen & 川崎燎『Trinkets and Things』(写真)。1978年8月13日の録音。日本でのLP発売時のタイトルが「フェア・ウェザー」。ちなみにパーソネルは、Joanne Brackeen (p), Ryo Kawasaki/川崎燎 (g)。ジョアンと川崎とのデュオ盤になる。

どういう経緯でデュオ演奏をするに至ったかが判らないが、録音当時、エルヴィン・ジョーンズやギル・エヴァンスとのコラボで知られる川崎と、ジャズ・メッセンジャーズ唯一の女性メンバーだったジョアン・ブラッキーンの邂逅の記録である。

ジョアンは録音当時40歳、川崎は31歳。どちらも中堅に差し掛かる、一番、ジャズ演奏家としてノリに乗った時期のデュオ盤なので、内容はしっかりしている。演奏テクニックについて、かなり高度なものをもっている両者なので、デュオでのインタープレイの応酬は聴き応え十分。スリリングな一面あり、双方ピッタリ寄り添うような一面あり、硬軟自在、変幻自在、丁々発止のやり取りは聴いていて爽快です。
 

Trinkets-and-things_1

 
ジョアンが弾きまくる。川崎とのデュオなので、捻ったところやユーモア溢れる展開はちょっと控えめ。逆に、モーダルでオリジナリティー溢れるフレーズをバリバリ弾きまくる。思い切りのあるエネルギッシュなフレーズはまさに「男勝り」。こういう、ジョアンの様なピアノを聴くと「痛快」である。ジャズの世界では男も女も関係無いなあ、と改めて思う。あるのは「クールでヒップな」演奏なのかどうか、だけ。

川崎も弾きまくる。川崎のギターの音源については、あまり数が無いので、なかなかじっくりと聴き込む事が出来ないのだが、この盤は違う。川崎のギターの音をテクニックを十分に聴くことが出来る。アコギもエレギもとにかく上手い。速弾きも難なくこなし、アドリブ・フレーズは歌心満点。しっかりとしたテンションの中、流麗なフレーズをガンガン弾きまくる。しかし、上手い。渡辺香津美と比べても劣らない、素晴らしいギターである。

バリバリ弾きまくるジョアンとガンガン弾きまくる川崎。どちらも高速フレーズをバンバン出しまくるのだが、どちらもお互いの音をしっかり聴きながら、瞬時に応答フレーズを返し、高速なユニゾン&ハーモニーを展開する。音がぶつかることが無く、バックに回った時のリズム&ビートも小洒落に供給する。

意外と言っては失礼だが、内容充実のピアノ&ギターのデュオ盤。今まで聴いたことが無かった分、新しい気分で聴けたが、特に、川崎燎が、こんなに格好良く素敵なギターを弾きまくるとは思わなかった。小粋なデュオ盤に出会ったと感謝している。
 
 

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Matsuwa_billboard

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