またまたエヴァンスの未発表音源
ビル・エヴァンスは、ジャズ・ピアニストの中で、一番のお気に入り。1980年9月15日、鬼籍に入ってから既に40年以上が経過したのだが、未だに「未発表音源」が出てくる。しかも、ほとんどがかなり良い内容、音質もまずまず良いものばかり。「未発表音源」を出せば、それなりに良いセールスを記録するらしく、今でも、ビル・エヴァンスの人気というのは凄まじいものがあるみたい。
BIll Evans『Behind the Dikes: The 1969 Netherlands Recordings』(写真左)。1969年3月と11月のオランダでの録音。ちなみにパーソネルは、BIll Evans (p), Eddie Gomez (b), Marty Morell (ds)。2つのセッションが継ぎ目なく収められていて、臨場感があって、音もまずまず。トリオ3者の録音バランスが良くないところがあるが、それは正式録音じゃないので、仕方の無いこと。
1969年の録音なので、エヴァンスのピアノは、透明度の高い、耽美的な演奏というよりは、バップなピアノでガンガン弾きまくっている。ただし、音の響き、音の重ね方はエヴァンス独特のもので、バリバリとバップなピアノを弾いている割には、耽美的で流麗な響きが、エヴァンスのフレーズのそこかしこに流れている。とにかく美しくジャジーな珠玉の譜レースがてんこ盛り。さすがエヴァンス、と唸ってしまう。
ゴメスのベースの音が前面に出ている傾向の録音なので、逆にゴメスのベースの個性が手に取るように判る。意外とゴメスのベースは重低音。しかもソリッドでしなやか。あまりにブンブン響いて目立つので、ゴメスのベースはイマイチ、なんて意見もあるが、どうして、この時期のバップなピアノでガンガン弾きまくるエヴェンスに相対するベースは、このゴメスのベースが一番だ。
モレルのドラミングもこのライヴ盤では好調。そこはかとなく上手いドラミングのモレルだが、地味なところがところどころあって、この地味なところが耳に付くと、モレルはイマイチだ、ということになる。が、このライヴ盤では、エヴァンスのピアノが相当に溌剌としているので、その溌剌さに触発されたのか、モレルのドラミングも溌剌としてエモーショナルですらある。モレル、やればできるじゃないか、と嬉しくなるドラミングである。
収録されたどの曲にも、このエヴァンス・トリオにかかると、このトリオにしか出来ない、素晴らしいインタープレイが展開される。親しみやすく耳に優しいメロディーを前面に出しつつ、耽美的でリリカルな音の響きを大事にしながら、3者が織りなす迫力あるインタープレイ。ライヴ音源そのままなので、冗長さも少し感じるところもあるが、その冗長さも含めて、どの演奏も上質のピアノ・トリオのパフォーマンスである。
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