ECM発、ハルスマンの新盤
昨日ご紹介した Maciej Obara『Three Crowns』(写真左)。ECMレーベルのカタログを見ていたら、同じ様なオブジェのジャケ写のアルバムを見かけた。恐らく、どこかの美術館かどこかで撮影した同じ作者のオブジェを使い回したのではないか、と思いつつ、何故か強く惹かれたので、「ジャケ買い」第2弾として、この盤をチョイス。
Julia Hulsmann『Not Far From Here』(写真左)。2019年3月の録音。ちなみにパーソネルは、Julia Hulsmann (p), Uli Kemoendorff (ts), Marc Muellbauer (b), Heinrich Kobberling (ds)。リーダーの Julia Hulsmann(ジュリア・ハルスマン)は、1968年、独ボン生まれの女性ジャズ・ピアニスト。繊細でリリカルなタッチ、耽美的で流麗なフレーズが個性。
このハルスマンのピアノが、ECMレーベルの音世界にバッチリ合っている。 ECM独特の深いエコーの中、漂うが如く、流れるが如く、それでいてタッチが明確で、フレーズの一音一音がクッキリと浮かび上がる。まさに「ECMレーベルの申し子」の様なピアノ。暫く聴いていて、ふと「Steve Kuhn(スティーヴ・キューン)」のピアノを想起したが、キューンのピアノよりも繊細で浮遊感があるのが独特の個性。
繊細でリリカルなタッチ、耽美的で流麗なフレーズが個性のピアノなので、浮遊感を活かした幽玄なフレーズが間延びしたりしそうだが、そこはこの盤、テナー・サックスが入ったカルテット編成の演奏なので、テーマ部の旋律がクッキリしていて、演奏全体にメリハリが付いていてバランスが良い。テナーが入ることによって、逆に、ハルスマンのピアノの個性が良い方向に作用している。
収録されたどの曲も、ハルスマンのピアノの特性を活かした、耽美的でリリカル、そして、どこかミステリアスな演奏がメイン。3曲目の「This Is Not America」は、デヴィッド・ボウイとパット・メセニー、ライル・メイズが共作した、映画「コードネームはファルコン」の主題歌。メロディアスで深みのある展開で、アルバム全体の演奏の中で、ちょっとユニークな内容になっている。
そして、この「This Is Not America」は、ラストで、ハルスマンのピアノ・ソロで再演されるのですが、これが絶品。ハルスマンのピアノの個性がこのピアノ・ソロに凝縮されて、聴き応えのある、滋味溢れるパフォーマンスに仕上がっている。現代のコンテンポラリーな純ジャズ、現代の欧州のニュー・ジャズとして、一聴の価値が十分にある好盤だと思料。
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