ベテランと若手が噛み合う好盤
21世紀に入っても、ジャズ界はコンスタントに将来有望な新人が出てくるし、20世紀の時代から活躍しているベテラン〜レジェンド級のジャズマンも充実した活動を継続している。
そういう環境の中、最近、目に付いたのが「Dave Liebman(ディヴ・リーブマン)」。1946年9月4日生まれなので、現在75歳。レジェンド級のサックス奏者。もともとはコルトレーンのフォロワーな存在だったが、マイルスのバンドに参加して、リーブマン独自の個性を身につける。現在では、コルトレーン・ライクなストレートな奏法ではあるが、どこか温もりと流麗さを兼ね備えた、正統派テナーのレジェンドとして活躍を続けている。
Dave Liebman『IS SEEING BELIEVING?』(写真左)。2016年の作品。ちなみにパーソネルは、Dave Liebman (ss, ts, fl), Ricardo Pinheiro (g), Eric Ineke (ds), Mario Laginha (p), Massimo Cavalli (b) 。フロントがリーダーでテナーのリーブマン、ギターのリカルド・ピニェイロがフロント2管。オランダの正統派ドラマー、エリック・イネケ、そしてポルトガル、イタリア出身の若いプレイヤーを迎えたクインテット編成。録音当時70歳のリーブマンのリーダー作である。
リーブマンがインタヴューで「メロディの大切さ」を語っている。大切なのは「不要な装飾を取り払い、物事の本質を突く演奏」だと。この盤では、そんなリーブマンが目指すパフォーマンスをしっかり具現化している様に感じる。適度にリラックスした、それでいて芯のしっかりした、オリジナリティー溢れるストレートで装飾の無いブロウ。フリーキーに走ることも無く、引用に走ることも無い。温もりと流麗さを兼ね備えた、大らかで力感溢れるテナーが素晴らしい。
冒頭の6/8拍子のテーマと4ビートのソロの間での「リズム&ビートのチェンジ」が小粋で見事な「Old Folks」を聴けば、それが良く判る。暖かく流麗な、それでいてテクニック確かで力感溢れるテナーを、リーブマンが気持ちよさそうに吹き上げていく。「Rainy Sunday」や「Ditto」などのメンバーのオリジナル、「Coraçao Vagabundo」「Beatriz」といったブラジリアン・ナンバーもポジティヴにリラックスした演奏で、聴いていてとても心地良い。
こういった20世紀の時代から活躍しているベテラン〜レジェンド級のジャズマンの充実したリーダー作を聴くと、いや〜、ジャズって懐が深いなあ、裾野が広いなあ、と改めて思う。レジェンド級のリーダー、そして若手有望なメンバーがガッチリ噛み合った、優秀な内容のコンテンポラリーな純ジャズ盤です。
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