聴いて楽しい「踊れる」ジャズ
ブルーノート60周年を記念して1998年から始まった、ルディ・ヴァン・ゲルダーの手による24ビット・リマスター・シリーズ「RVG Edition」は、今まで、聴いたことが無かった、見たことが無かったアルバムも復刻されていて、CDコレクターとしては、貴重な復刻シリーズだった。この復刻を切っ掛けに、ブルーノートの1500番台、4000〜4200番台のアルバム・コレクションをコンプリートしたのも、今となっては懐かしい思い出だ。
Don Wilkerson『Preach Brother!』(写真左)。1962年6月18日の録音。ブルーノートの4107番。ちなみにパーソネルは、Don Wilkerson (ts, tambourine), Sonny Clark (p), Grant Green (g), Butch Warren (b), Billy Higgins (ds), Jual Curtis (tambourine, tracks 3-4)。アルバムのキャッチ・フレーズは、“テキサス・テナー”の雄、ドン・ウィルカーソンによる「踊れる」ジャズ・アルバム。
ドン・ウィルカーソン。僕はこのサックス奏者の名前を全く知らなかった。1998年から始まった一連の復刻の中で、初めて、ドン・ウィルカーソンの名前を知った。こういう時にはライナーノーツが役に立つ。ウィルカーソンは、1950年代後半、レイ・チャールズ (p,vo)との共演で注目された、ソウル・ミュージック畑のサックス奏者。
このウィルカーソンのサックスがとてもソウルフル。加えて、ソウル・ビートが利いていて、グルーヴ感が半端ない。収録されたどの演奏も実にダンサフル。聴いていると、自然と足でリズムを取り始め、上半身が左右に動き始める。それもそのはず、全編を通して、リーダーのウィルカーソンをはじめ、メンバー全員が心から「ソウルフル」なプレイを楽しんでいるのが、ビンビンに伝わってくるのだ。
バックのリズム隊がこれまた「ソウルフル」。見れば、ハードバップの精鋭達なんだが、思いっ切りソウルフルでグルーヴ感溢れる演奏で、ウィルカーソンのソウルフルなテナーをサポートし鼓舞する。ソニー・クラークが、グラント・グリーンが、ファンキーでソウルフルでダンサフルなフレーズを叩き出せば、ワーレンとヒギンスが、ソウルフルなリズム&ビートを叩き出す。
とにかく聴いて楽しい「踊れる」ジャズ。「聴いていて体が動いてこないとしたら、それは良質なジャズではない」と言ったのはアート・ブレイキー。そういう切り口では、この盤の演奏は「ジャズ」だろう。聴いて楽しいからといって、敬遠すべき「俗っぽい」ジャズでは無い。内容的にはテクニック、アレンジ、共にしっかりした、硬派で楽しいジャズ盤である。
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