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2022年3月25日 (金曜日)

ホレスの「日本贔屓 (びいき)」盤

Horace Silver(ホレス・シルヴァー)ほど、ファンキーなピアノを弾き続けたピアニストはいないだろう。ファンキーなピアノというよりは、もはや「ホレス節」というほどの、マイナーでファンキーでダンサフルなピアノを弾きまくる訳で、ホレスのピアノは1曲聴けば「ああ、これはホレス・シルヴァー」のピアノと判る位に個性的なもの。これが「ホレス者(ホレス・シルヴァーのファン)」にとっては堪らないのだ。

Horace Silver『The Tokyo Blues』(写真左)。1962年7月13–14日の録音。ブルーノートの4110番。ちなみにパーソネルは、Horace Silver (p), Blue Mitchell (tp), Junior Cook (ts), Gene Taylor (b), Joe Harris (ds)。ミッチェルのトランペット、クックのテナー・サックスが2管フロントのクインテット編成。ホレス・シルヴァー・クインテットの黄金時代の一枚である。

ホレスは1962年1月、初来日公演を敢行、全国19もの会場で大成功を収め、以降、すっかり「日本贔屓(びいき)」になったらしい。この盤はその初来日公演の半年後の録音なので、その興奮冷めやらぬまま、タイトルも明確に「東京ブルース」。収録曲も「Too Much Sake(日本酒が過ぎる)」「Sayonara Blues(さよならブルース)」「The Tokyo Blues(東京ブルース)」「Cherry Blossom(桜)」「Ah! So(あっそう)」と日本を想起させるタイトルばかり。
 

The-tokyo-blues_horace-silver

 
洒脱なファンキー・ジャズが良い感じに響いている。「The Tokyo Blues」のエキゾティックな響きも良い感じだし、どの曲も大胆な展開をしつつも、要所要所は繊細にキメているところがこの盤の特徴的なところ。ホレス・シルヴァー・クインテットの演奏のレベルが一段上がった様な感じがする。曲のラストに、そこはかとなく「オリエンタルなフレーズ」が出てきたりするが、これがまったく違和感が無いところがホレスの作曲&アレンジの優れたところ。

ホレスの優れた作曲&アレンジによって、フロントのミッチェルのトランペット、クックのテナー・サックスも実に気持ち良く、吹きまくっている。溌剌として明るくて、それでいて、しっかりキメるとことはキメる、テクニック良く、メリハリの効いたブロウが実に良い感じ。ジーン・テイラーのベース、ジョー・ハリスのドラムのリズム隊も、ファンキーなリズム&ビートをキメにキメていて、とても良い感じのファンキー・ジャズ盤に仕上がっている。

1962年1月、初訪日した印象をホレスならではの解釈で、鯔背に粋にファンキーにキメてくれている盤。ジャケット写真も思いっ切り「日本風」に、しかもカラーでキメている。この盤、ホレスの初来日時の「感謝」をそこはかとなく感じるなあ。ちなみに、ジャケット写真の左側の女性は、出光佐三の四女で映像作家の出光真子さんです。NYの日本庭園での撮影とのこと。良いジャケットですね。
 
 

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