狭間の考えるセロニアス・モンク
このところ、挾間美帆に注目している。特に、ビッグバンドやラージ・アンサンブルと呼ばれる分野での「作曲&アレンジ」の才能が凄い。バンドの指揮者としての才覚もあり、今までの日本人にまず無い、あるとしたら唯一、今を去ること40数年前、秋吉敏子=ルー・タバキン・ビッグバンドでの、穐吉敏子さんくらいだろう。
2012年にジャズ作曲家としてメジャー・デビュー。2016年、米ダウンビート誌「未来を担う25人のジャズ・アーティスト」に選出。自身のジャズ室内楽団 m_unit の3作目『Dancer in Nowhere』は、2019年、米ニューヨーク・タイムズ「ジャズ・アルバム・ベストテン」に選ばれ、2020年の米グラミー賞「Best Large Jazz Ensemble Album」部門ノミネートされている。
Miho Hazama Metropole Orkest Big Band『THE MONK : Live at Bimhuis』(写真)。2017年10月の録音。挾間美帆がアレンジと指揮を担当、メトロポール・オーケストラ・ビッグバンドとの共演盤である。メトロポール・オーケストラは、オランダのポップスとジャズを基調とした、世界で最も規模が大きい全合奏団、混成オーケストラ。そのオーケストラのメンバーで、ジャズ・ビッグバンドを編成している。
2017年はセロニアス・モンク生誕100周年の年。この盤は、セロニアス・モンクの曲をカバーしたトリビュート・ライブ・アルバムである。全7曲。「Thelonious」「Ruby, My Dear」「Friday the 13th」「Hackensack」「Round Midnight」「Epistrophy」「Crepuscule with Nellie」。モンクの楽曲のうち、旋律がキャッチャーで美しく、かつユニークな楽曲を特に選んでいる様に見える。
モンク・トリビュートのビッグバンド盤と聞いて、モンクのあの独特のタイム感覚はどうやって、ビッグバンド化するのかなあ、と思って聴いてみたら、タイム感覚は横に置いて、モンクの「旋律がキャッチャーで美しく、かつユニークな楽曲」に焦点を絞って、モンクの楽曲が持つ、色彩豊かな音の重なり、音の流れを際立たせる秀逸なアレンジ、に力点を置いている。アンサンブルがクリアで躍動感があり、音の重なりが正統でゴージャズ。バリサクを効果的に使用した低音域の強調は「ギル・エヴァンス」を想起させる。
モンクの楽曲って、こんなに「キャッチャーで美しく、かつユニーク」やったんやなあ、って再認識。狭間の「目的をしっかり絞り込んだ」優秀なアレンジが、モンクの楽曲の魅力を更に引き立たせ、モンクの楽曲の持つ「躍動感」を前面に押し出している。そして、ビッグバンド自体の音がかなり優秀。狭間の注文に的確に応答し、狭間のコンダクトに反応している。この優秀なビッグバンドがあってこそ、狭間のアレンジが引き立つ。良いビッグバンド盤だと思います。
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