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2022年3月 5日 (土曜日)

ゲッツの「クール」なサックス 『Stan Getz Plays』

3月に入って、やっと気温が上がってきた。今日などは、3月の早春らしい陽気でなんだかウキウキする。遠くの景色が少し霞む様になってきて、いよいよ季節は春である。この春のホンワカした雰囲気に合うサックスは、と考えていたら、スタン・ゲッツの名が浮かんだ。

3月2日にコロナワクチンの第3回目接種が終わって、今回もしっかり副反応が出て、一昨日は終日寝込んでいた。副反応による発熱なので、意識はしっかりしている。とにかく暇なので、寝床でジャズを聴いていた訳だが、ちょうど上手い具合に、スタン・ゲッツのリーダー作をまとめて聴くことが出来た。

『Stan Getz Plays』(写真)。1952年12月12 & 29日、NYでの録音。ちなみにパーソネルは、Stan Getz (ts), Jimmy Raney (g), Duke Jordan (p), Bill Crow (b), Frank Isola (ds)。ゲッツのテナー・サックスとジミー・レイニーのギターがフロントのクインテット編成。1952年の録音なので、リズム・セクションはビ・バップの中堅どころを採用している。
 

Stan-getz-plays_1

 
ゲッツのほのぼのとした、少し掠れるような、力感のあるクールなテナー・サックスを愛でるに最適なアルバムである。収録曲全てがスタンダード曲で占められ、演奏のテンポはミッド〜スロー。ゲッツのテナーの堅実なブロウと素晴らしい運指テクニックがしっかり確認出来、しっかりと堪能出来る。当時、男性的な楽器と言われたテナー・サックスを、ここまでスムースに吹き上げるゲッツは実に「クール」。

1曲目「Stella By Starlight」、7曲目「Stars Fell On Alabama」などは、ゲッツの吹き回しは筆舌に尽くしがたい。4曲目の「The Way You Look Tonight」と5曲目「Lover Come Back To Me」のややアップテンポな2連チャンは、ゲッツの最高にメロディアスな運指テクニックに思わず唸ってしまう。当時、ゲッツはかなりの麻薬中毒だったそうだが、そんなこと、思いもかけないほど、この盤のゲッツのテナーは素晴らしい。

LP時代はA面B面合わせて11曲。CDでリイシューされた盤は、ボートラ5曲が入っていて、1曲「How Deep Is the Ocean?」はLP時代に収録と同じNY録音なんですが、残りの4曲はLAの録音で、パーソネルも全く異なるので、注意が必要です。こういうボートラの収録は困りものですね。NY録音の未収録曲「How Deep Is the Ocean?」だけのボートラ収録に留めることは出来なかったのでしょうか。
 
 
 
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