Brown and Roach 5 の最終盤 『at Basin Street』
最近、クリフォード・ブラウン(Clifford Brown・愛称 : ブラウニー)関連のアルバムを聴き直している。当ブログでも、ブラウニー関連のアルバムのレビューについては、主要なリーダー作については、ほぼアップした、と思っていたら、幾つか「抜け」があったので、今回はそれを補填していきたい。
『Clifford Brown and Max Roach at Basin Street』(写真左)。1956年1月4日、2月16ー17日の録音。ちなみにパーソネルは、Clifford Brown (tp), Sonny Rollins (ts), Richie Powell (p, celesta), George Morrow (b), Max Roach (ds)。テナー・サックスが、旗揚げ盤の『Clifford Brown & Max Roach』から『Study in Brown』まで、ハロルド・ランドだったのだが、当盤ではソニー・ロリンズに交代している。
1956年6月26日に、ブラウニーは交通事故にて急死しているので、この盤は「Brown and Roach クインテット」での最終作となってしまっている。1956年3月22日には、同一メンバーで、ソニー・ロリンズ名義の『Sonny Rollins Plus 4』を録音しており、「Brown and Roach クインテット」へのロリンズの加入は正式に決まっていたのだろう。
さすがに、ソニー・ロリンズの加入の効果は大きい。もともと、Brown and Roach クインテットは「バップで流麗な長尺演奏と熱気溢れるインタープレイ」がグループ・サウンドの個性なのだが、この個性がロリンズの加入で、より一層、確固たるものに、かつ、スリリングなものになっている。
ロリンズとしても、アレンジや奏法に工夫を凝らしたハードバップよりも、個々のジャズマンのパフォーマンスがメインのインタープレイが基本のバンド・サウンドの方が、自分の個性を発揮し易い。ブラウニーにしても、ロリンズにしても、ローチにしても、個々のジャズマンのパフォーマンスを尊重したインタープレイは願ったり叶ったりだったろうから、この『at Basin Street』の内容はとても充実している。
これほど、ブラウニーとロリンズがフロント・パートナーとしての相性が良いとは思わなかったので、ブラウニーの急死によって、この編成でのバンド活動が終了してしまったのは実に惜しいことであった。もともと、ブルーノート盤『バードランドの夜』で始まった「バップで流麗な長尺演奏と熱気溢れるインタープレイ」を、より具体化し、より洗練していった成果がこの盤に溢れている。
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