「ライオンの狂気」第三弾 『The African Beat』
ブルーノート・レーベルには、その音を聴いて驚愕するアルバムが幾枚かある。オーナー&プロデューサーのアルフレッド・ライオンのたっての希望で実現した「ライオンの狂気」と呼ばれるアルバム群。ジャズの原風景である「リズム&ビートの洪水」がメインの内容で、ジャズというよりは、今で言う「ワールド・ミュージック」なアルバム群である。
「ライオンの狂気」と呼ばれるアルバムは、まず、ブルーノートの1554番・1555番の、Art Blakey『Orgy In Rhythm, Vol.1&2』(1957年3月録音)。その次に、ブルーノートの4004番・4005番の、Art Blakey『Holiday for Skins vol.1 & 2』(1958年11月9日録音)。そして、今回ご紹介するこの盤の3種類。
Art Blakey『The African Beat』(写真左)。1962年1月24日の録音。ブルーノートの4097番。ちなみにパーソネルは、
Art Blakey(ds, timpani, telegraph drum, gong),
Ahmed Abdul-Malik (b),
Yusef Lateef (cow horn, fl, ts, mbira, oboe),
Curtis Fuller (timpani),
Chief Bey (double gong, conga, telegraph drum),
Robert Crowder (Batá drum, conga)
James Ola. Folami (conga)
Solomon G. Ilori (vo, talking drum, pennywhistle),
Montego Joe (corboro drum, log drum, bambara drum, double gong)
Garvin Masseaux (shekere, African maracas, conga)
パーソネルを見渡すと、ジャズではあまりお目にかからない打楽器が多数、使用されている。それら珍しい打楽器の大本は「アフリカ」。タイトル通り、アフリカの打楽器中心の、アフリカン・ネイティヴな、ワールド・ミュージックど真ん中な即興演奏が繰り広げられている。
録音時期は1962年。まだハードバップが多様化し始めた時代に、このような、後の「ワールド・ミュージック」を先取りした演奏が記録されていたとは、驚きでしか無い。さすがは、ブルーノートの総帥プロデューサーのアルフレッド・ライオンである。ジャズの「源」である、アフリカン・ネイティヴなパーッカッション・ミュージックをしっかりと企画し、録音している。
この盤は「ライオンの狂気」と呼ばれる前2作に比べ、単なるリズム合戦からは脱却した、アフリカン・ネイティヴな、リード、パーカッション、ボイスの饗宴となっていて、しっかりとメロディーもあり、リズム&ビートも整ったもので、野趣溢れるパーッカシヴな音世界ではあるが、ワールド・ミュージックとして、今の耳にも十分に訴求する内容である。
アフリカの台地に響く音、草原を吹き抜ける風、人々の生活する雰囲気、動物たちのざわめき、そんなイメージが脳裏をよぎる、古さを感じさせない、ワールド・ミュージックど真ん中な即興演奏は実に魅力的。この「ワールド・ミュージック」志向の音世界が好きな方々には堪らない内容である。
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