初来日のジャズMの未発表音源
Art Blakey & The Jazz Messengers(アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズ)の音が好きだ。バンドの活動が好調な時代も停滞した時代も、ハードバップの良いところが詰まっている。リーダーのアート・ブレイキーのスカウト力の賜なんだろうが、常にその時代時代毎の良いメンバーが集まっていて、ジャズ・メッセンジャーズならではの音が詰まっている。
Art Blakey & The Jazz Messengers『First Flight To Tokyo : The Lost 1961 Recordings』(写真左)。1961年1月14日、東京の「日比谷公会堂」でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Art Blakey (ds), Wayne Shorter (ts), Lee Morgan (tp). Bobby Timmons (p), Jymie Merritt (b)。ジャズ・メッセンジャーズの第1の黄金期のラインナップである。
1961年の初来日ツアーの模様を収録した未発表ライヴ盤である。1961年の初来日ツアーのライヴ音源は、既出の正式な音源としては、1961年1月2日、東京の「サンケイホール」でのライヴ録音(写真右)がある。
この既出の正式なライヴ音源は、当時のジャズの歴史の記録として貴重な音源。我が国のジャズ者の方々が、ファンキー・ジャズだ、と思っていたら、全く異なる「モード・ジャズ」が鳴り響いた、当時の「ジャズの進化」の洗礼を思いっ切り浴びた記録である。
この今回の発掘ライヴ音源も、既出の正式なライヴ音源と変わらず、当時のジャズ演奏の最新のトレンドのひとつ「モード・ジャズ」に、真摯に取り組むジャズ・メッセンジャーズのライヴの記録である。
リーダーのブレイキー、そして、メッセンジャーズに「モード」を持ち込んだ張本人ショーターは問題無く、「モード」に適応している。しかし、鯔背な天才トランペッターのモーガン、ファンキー・ピアノの申し子のティモンズ、ハードバップど真ん中のベーシストのメリットは、モードの洗礼を浴びて、時々、苦戦している姿が聴いて取れる。
しかし、大歓迎を受けた日本での初のライヴ。メンバーは全員、真摯で全力投球、精魂込めたパフォーマンスを展開していて立派だ。それぞれのアドリブ・ソロは鬼気迫る迫力も持って展開され、ブレイキー御大も珍しく、ロングなドラム・ソロを敢行。その「熱」の入った演奏に、日本の聴衆もビビッとに反応している様は、これまた立派。
ちなみに、この盤は、この初来日ツアーを追いかけたドキュメンタリー映画『黒い炸裂』用に記録されたものだったが、権利等の問題でこの映画がお蔵入り。フィルムは破棄され、それ以降、演奏を記録したマスターテープの所在も長らく不明状態に。しかし、2017年、当時の映画スタッフの遺品からマスターテープが発見され、リリース至った、とのこと。まだまだあるんですね。そういう貴重な未発表音源って。それが聴ける我々はラッキーでした。
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