神保彰のユニークなドラムソロ盤
我が国のフュージョン・ジャズにおける、伝説的ドラマー神保彰。今までは「ファンク、そしてラテン」がメインの音世界。が、今回は新志向であるAORフィーリングなアルバム『SORA』(昨日ご紹介)と、もう一枚、前作の『30 TOKYO Yellow』からの新志向、ドラムソロにフォーカスしたアルバムを同時リリースしている。
神保彰『アメアガリ』(写真左)。2021年12月のリリース。このアルバムは、ドラムは神保自身が叩いているが、その他の音はすべてプログラミングで対応している。つまりは、神保彰のソロ・アルバムであり、ドラムソロのアルバムでもある。ドラム以外のその他の音は、神保のドラムを引き立たせる為にあると捉えた方が判り易い。
この新作『アメアガリ』は「ドラム以外、すべてプログラミング」というコンセプトについては賛否両論だろう。プログラミングのメロディーやフレーズを「無機質」と捉えるか否かで、評価は分かれるだろう。「無機質」と捉えれば、当然、ドラム以外のメロディーやフレーズも、人が演奏するべき、そうじゃないと平板で飽きる、という評価になるだろう。
しかし、である。神保彰のドラミングにフォーカスを当てて、そのドラミングを引き立たせる為に、プログラミングされたメロディーやフレーズがある、という切り口で考えると、これはこれで「アリ」と思うのだ。全てが自分1人が考える演奏する音世界で完結する。ソロアルバムの究極の姿ではある、と思ったりする。
神保彰いわく「『アメアガリ』の曲は、歌モノような“A・B・サビ”という構成ではなく、1つのグルーヴが最初から最後までずっと続いていて、メロディはすごくシンプルな1つのモチーフが提示され、それが変化していく」。なるほど、納得の説明である。この盤はあくまで、神保のドラミングを愛で、神保独特のリズム&ビートを感じるアルバムなのだ。
どの曲でも、神保のドラミングは興味深く面白い。とても色彩豊かで、様々なグルーヴ感が聴いていて楽しい。そんな様々なグルーヴ感に応じて、プログラミングされた「彼ならでは」のメロディーやフレーズが効果的に挿入される。神保のドラミングが多彩なので、意外と飽きない。面白いチャレンジ、面白いドラムソロ盤である。
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