バップなガーランドの魅力 『Bright and Breezy』
レッド・ガーランドのピアノは「右手はコロコロと唄う様な繊細なシングルトーン、左手は合いの手を入れるが如く、タイミングが絶妙のブロックコード」。マイルスのバンドに入った時に「アーマッド・ジャマルの様に弾け」とマイルスに言われる。その結果が、前述のガーランドのピアノの個性なんだが、これって、マイルス仕様のガーランドでは無いかと最近思うのだ。
Red Garland『Bright and Breezy』(写真左)。1961年7月19日の録音。ちなみにパーソネルは、Red Garland (p), Sam Jones (b), Charlie Persip (ds)。ガーランドお得意のトリオ編成。1961年当時、中堅の名手だった、サム・ジョーンズがベース、チャーリー・パーシップがドラムを務める。
冒頭の「On Green Dolphin Street」から、ガーランド・トリオは快調に飛ばしていく。僕はこのスタンダード曲が大好きで、様々なジャズマンの演奏を多く聴いている。このガーランド・トリオの演奏は元気が良い。この元気さが、実は、レッド・ガーランドのピアノのもう1つの個性だと思うのだ。
2曲目以降も、この盤については、ガーランド・トリオは、スタンダード曲、ミュージシャンズ・チューンを快調に演奏していく。ガーランドのピアノの右手は、思いっ切り「バップなピアノ」。左手のブロックコードがとても個性的に響く。明るくて明快で爽快なガーランドのピアノである。
マイルス・バンド時代のアーマッド・ジャマルの様に「右手はコロコロと唄う様なシングルトーン、左手は合いの手を入れるが如く、タイミングが絶妙のブロックコード」で弾くガーランドが彼の個性の全て、とする向きには、マイルス・バンドを辞した後のガーランドのピアノは、繊細が無くなって演奏が荒くなった、と評されて、酷い評だと、マイルスの下を辞した後のガーランドは聴くに及ばず、というものさえある。
でも、よく聴くと、ガーランドのピアノって「バップ・ピアノ」がもう1つの個性だと思うのだ。右手のコロコロと唄う様な繊細なシングルトーンは、マイルスのバックで、マイルスの邪魔にならないよう、マイルスのトランペットを引き立てる為の特別仕様では無かったか、と思うのだ。
引き立てるべきフロント楽器が無くなって、自分がフロントを勤めるトリオ編成では、自分が前へ出て、メインの旋律を弾く必要がある。加えて、ガーランドはバップ時代バリバリのピアニストである。確かに、マイルスの下を辞して以降のガーランドの右手は「バップの右手」になった。
まあ、ジャズ盤の評価って色々な感じ方があるから、一概には言えないが、この「バップな」右手には軽快な躍動感と歌心があって、僕には、この「バップな」ガーランドの右手も魅力的だと思うのだ。
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