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2022年2月21日 (月曜日)

神保彰『SORA』を聴いて思う

我がバーチャル音楽喫茶『松和』は、メインストリームな純ジャズのみならず、フュージョン・ジャズも結構聴く。特に、フュージョン・ジャズについては、僕が本格的にジャズを聴き始めた1970年代後半は、フュージョン・ジャズ全盛期。純ジャズの名盤を集めつつ聴きながら、フュージョン・ジャズ盤は、軍資金が底を突かないよう貸レコードを活用して、積極的に聴いていた。

ちなみに1970年代後半は、ロックの世界では、我が国独特の表現にはなるが、AOR(Adult Oriented Rock)=「大人のロック」の全盛時代。従来のロック盤と同様、アルバム中心主義で、ロック・ビートに乗った、聴いていて心地よい、落ち着いて、洒落ていて、小粋なサウンドがメインのロックが流行していた。

神保彰『SORA』(写真左)。2021年12月のリリース。ちなみにパーソネルは、Jimbo Akira "神保彰" (ds), Jeff Lorber (p), Patrice Rushen (p, vo), Nathan East (e-b, vo), Freddie Washington (e-b)。フュージョン・ジャズの名うての名手達が参加。しかし、ジェフ・ローバーやネイザン・イーストが参加して、日本のフュージョン・ジャズのアルバムが制作されるなんて、夢の様である。
 

Sora-akira-jumbo

 
このアルバムは、一言で言うと「AORな雰囲気満載の日本発のフュージョン・ジャズ」。テクニックは優秀だが、テクニックに走ること無く、余裕ある大人のフュージョン〜スムース・ジャズがこの盤の個性。しかも、ジャジーな雰囲気を失うこと無く、真摯にジャズの雰囲気を残しつつ、ファンクネスが限りなく希薄な、「日本発」独特のフュージョン・ジャズがこの盤の中で展開されている。

そんな「日本発」独特のフュージョン・ジャズの中で、神保のドラミングがクッキリと前面に出て、しっかりと演奏全体をコントロールしている。じっくり聴くと、神保のドラミングが凄い。スティーヴ・ガッドに匹敵する縦ノリ・ビート、粘りの無いクリアなアタック音、表現豊かなポリリズム。とっても素敵なフュージョン・チックなドラミングである。この神保のドラミングを聴いているだけで幸せな気分になれる。

AORの往年の名曲「アントニオの歌(Antonio’s Song)」(1977年)と、パトリース・ラッシェン「Forget Me Nots」(1982年)のカヴァーをヴォーカル入りで収録している。こういう「日本発」独特のフュージョン・ジャズが神保の好みだとすると、確かに「CASIOPEA 3rd」の音はちょっと違うな。「CASIOPEA 3rd」については、サポートメンバーに徹しているのが、何となく判る、神保彰の好みが反映された、日本発のフュージョン・ジャズの好盤である。
 
 
 
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