往年のメセニーが戻ってきた 『Side-Eye NYC(V1.IV)』
久し振りに、パット・メセニーらしいパフォーマンスに出会った気がした。メセニーの新たな取り組みである「Side-Eye プロジェクト」。これは、メセニーが選んだ新進気鋭のジャズマンを招聘、新たなアレンジの過去の楽曲や新メンバーのための新曲を演奏するというもの。このところ、メセニーのパフォーマンスは「頭でっかち」な、人工的な演奏が多かっただけに、この「SIDE EYE プロジェクト」には心が躍った。
Pat Metheny『Side-Eye NYC(V1.IV)』(写真左)。2019年9月12, 13日、NYの「Sony Hall」でのライヴ録音とスタジオ録音。ちなみにパーソネルは、Pat Metheny (g, g-bass, orchestrionic), James Francies (org, p, syn), Marcus Gilmore (ds)。ベースレスの、ギター、キーボード、ドラムの珍しいトリオ編成。
Side-Eyeプロジェクトは、近年活躍している若手アーティストに焦点を当てながら新たなサウンドを創り出していくプロジェクト。本作のタイトルには「V1.IV」という記号のようなものがついているが、これはユニットを組んだミュージシャンの組み合わせを示している。メセニーとキーボードのフランシーズを固定メンバーとして、ドラマーが少しずつ変化したユニット編成となっている。この「V1.IV」は、ドラマーがマーカス・ギルモアが担当している。
アルバムに収録されているのは、パンデミックで全米がロックダウンとなる直前にニューヨークで録音されたライヴ・レコーディングが4曲に、スタジオ録音が4曲。いずれの演奏も素晴らしい。往年のパット・メセニー・グループ(PMG)のサウンドが戻ってきた様な印象だ。ライル・メイズ亡き後、PMGのサウンドを再び聴くことは叶わないだろうと思っていただけに、今回のこの「Side-Eye プロジェクト」の音には驚くやら嬉しいやら。
聴く前は、ベースレスが気になったが、パットのギターの音の太さからすると、ベースは意外と邪魔なのかもしれない。今回のベースレスの変則トリオの演奏を聴くにつけ、ベースレスは全く気にならなかった。例えば、ジャコと共演した「Bright Size Life」を聴けば、あのジャコとの共演イメージと、今回のプロジェクトのイメージと比較して違和感は無い。音の響きはPMGサウンドに通じる、クリアでスピード感のあるリリカルな音。
ロック・ビートあり、ブルースあり、コンテンポラリーなストレート・アヘッドなジャズが新鮮。そして、セルフカバーはオリジナルとは異なる新たなアレンジが施されて、生まれ変わった感じがする。往年のPMGのサウンドが戻ってきて、メセニーのギターも往年の輝きを取り戻した感が強くする。往年のパット・メセニーのファンとしては、嬉しい「Side-Eye プロジェクト」である。これから続くであろうアルバムが楽しみである。
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