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2022年1月29日 (土曜日)

Joe Pass『For Django』です

昨日、Herb Ellis & Joe Pass『Two for the Road』についての記事を載せた訳だが、ふと2人それぞれの単独リーダー作が気になり始めた。まずは、ジョー・パス(Joe Pass)の単独リーダー作を漁り始める。

ジョー・パスの単独リーダー作と言えば『Virtuoso(ヴァーチュオーゾ)』が真っ先に浮かぶ。これが1973年のリーダー作、というか、ソロ盤である。1970年代以降は、パブロ・レーベルの専属ギタリストといった風情で、この『Virtuoso』が、パブロ第一弾だった。で、パブロのジョー・パスのリーダー作には意外と駄作は無い。が、強い印象を残す盤は余り記憶が無い。

Joe Pass『For Django』(写真左)。1964年10月の録音。ちなみにパーソネルは、Joe Pass (g), John Pisano (g), Jim Hughart (b), Colin Bailey (ds)。2ギター+リズム隊のピアノレスな変則カルテット編成。2ギターではあるが、ジョン・ピサノはバッキングに徹しているので、フロントはパスの1ギターがフロント。残りの3人はリズム・セクションになる。

ジョー・パスのディスコグラフィーを見渡すと、パブロ・レーベルからのリーダー作が圧倒的に多いが、次に多いのが、米国西海岸の老舗ジャズ・レーベルの1つ「パシフィック・レーベル」からのリリース。デビュー作から6作ほど出ているが、この『For Django』の出来が頭1つ抜きん出ている。
 

For-django

 
恐らく、ピアノレスで、単独フロント楽器の位置付けのパスのギターは、何の制約も無く、かなり自由に弾きまくることが出来たのでは無いか、と睨んでいて、そのストレスフリーな自由度の高さが、この盤におけるパスの名演を生んだのでは無いか、と思っている。

この盤でのパスのギターはとても力強い。しっかり芯の入った力強い流麗な音で、メロディーがしっかりと、ホーンライクに伝わってくる。フロント楽器に向くギターの音と言える。そんな特徴が良い方向に出た、力感溢れる流れる様なフレーズがアルバム全編に渡って散りばめられている。どの曲も流麗で耳に心地良い演奏で、米国西海岸ジャズ独特の「聴かせるジャズ」がここにもしっかり記録されている。

1ギター+ベース+ドラムのリズム・セクションがパスのギターをしっかりと引き立てている。パスのギターを前に伴奏を入れるタイミングが絶妙で、切れ味も良く、聴いていて心地良いリズム&ビートが素晴らしい。このリズム・セクションの存在も、この『For Django』をパスの名盤に仕立て上げている好要素のひとつである。

パスの歌心豊かなスインギーな弾き回しは、とにかく「素晴らしい」の一言。この1964年の段階で、パスは「ヴァーチュオーゾ(卓越した技巧をもつ演奏家)」なギターの妙技を身につけていた、ということが良く判る名盤です。
 
 
 
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