スティーヴ・カーンのアコギ。
Steve Khan(スティーヴ・カーン)のギターは、心地良くスッと伸びたサスティーン、キャッチャーなフレーズ、癖の無いナチュラルな音が個性。エレギばかりがクローズアップされてきたが、本来のギタリストとしてのテクニックはどのレベルなのか。そういう場合、アコギの演奏も聴きたくなるのだが、そんな声に応えてくれたのがこの盤。
Steve Khan『Evidence』(写真)。1980年7月の録音。東海岸フュージョン最高のギタリストと誉れ高い、スティーヴ・カーンによるソロ・ギター盤(曲によって多重録音)。カーンがアコギを弾きまくる。タップリとかかるエコー、硬質でクリスタルなアコギの響き。耽美的でロマンティシズム溢れるフレーズの連続。
ただのソロ・ギター盤では無い。演奏する楽曲が、ウェイン・ショーター、ジョー・ザヴィヌル、リー・モーガン、ランディ・ブレッカー、ホレス・シルバー、そして、セロニアス・モンク。一癖も二癖もある「ミュージシャンズ・チューンズ」のてんこ盛り。モンクの楽曲については、当時LPのB面全部を占める「Thelonious Monk Medley」として、連続して演奏される。
LPのA面の「ミュージシャンズ・チューン」集のアレンジが見事。ショーター、ザヴィヌルの楽曲については、かなり癖のある、ニュー・ジャズっぽい難曲なんだが、耽美的でロマンティシズム溢れるアレンジを施していて、このショーター&ザヴィヌルの難曲に新しい魅力を加えている。加えて、カーンのアコギの魅力がダイレクトに伝わってくる。
LPのB面の「セロニアス・モンク・メロディー」についても、やはりアレンジが見事。思いっ切り癖のあるモンクの楽曲を、モンクの癖のあるフレーズを残しつつ、基本はバップの楽曲を、これまた、耽美的でロマンティシズム溢れる楽曲に変身させている。これ、結構、聴き応えがある。モンクの楽曲にこういうアレンジで、こういうアコギで攻めるんだ、と感心する。
聴いていると、どこか、ECMレーベルのニュー・ジャズ系のアコギ盤を聴いている様な気分になる。決して、フュージョンっぽく無い、メインストリーム系の硬派な純ジャズ・アコギの調べに思わず聴き込んでしまう。やっぱ、このギタリスト、ただ者では無いなあ、と改めて思う。
《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
★ AORの風に吹かれて 【New】 2021.08.11 更新。
・The Brothers Johnson『Light Up the Night』&『Winners』
★ まだまだロックキッズ 【New】 2021.08.11 更新。
★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2021.08.11 更新。
★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。
★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
東日本大震災から10年10ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
« ブルーノートの懐の深さを感じる | トップページ | The Remarkable Carmell Jones »
コメント